株価「トランプラリー」に早くも失速懸念 金融関係者が恐れる日経平均“暴落”の日
米中貿易摩擦と対日関税の引き上げで日本がダブルショックを受ける可能性があるというのだ。 トランプ政策を通じて日本でインフレ圧力が高まる可能性もある。 「減税に、関税引き上げ、そして国境の壁の建設というトランプ氏が掲げる政策はどれもインフレを加速させるもの。減税で消費が増えて、関税引き上げで輸入品価格は上昇する。国境の壁で移民排除が進むと、人手不足で人件費が高騰します。そうなれば、米国の金利は上昇を続け、さらなるドル高が進む。日本は円安の進展に伴い、輸入品の価格が上昇するでしょう。唯一、トランプ氏が掲げるシェールガスの増産は原油安の要因になるので、エネルギー価格は抑えられるでしょうが、米国発のインフレの波が日本に普及する懸念があります」(永濱氏) ■半導体企業に圧力か 直接、トランプ政権が日本のお金を吸い上げようとしてくる可能性もあるという。 「1期目のとき、トランプ氏はメキシコに工場を建設する日本の自動車会社に圧力をかけ、米国投資を引き出しました。トランプ氏の勝利で6日は日経平均は急騰しましたが、そのフラッシュバックと関税引き上げへの不安から、自動車株は軟調な動きになりました。おそらく、今回も米国内での生産を増やせと圧力をかけてくるでしょう。その点で懸念されるのが半導体産業です。日本の半導体の世界シェアはわずかですが、製造装置や部材のシェアは高い。7月にはトランプ氏が台湾の半導体大手TSMCをけん制する発言をしてますから、日本の半導体関連企業にも、米国投資を増やすよう圧力をかけてくる可能性がある」(経済キャスターの岡村友哉氏) もう一つ気がかりなのは、ウクライナ問題だ。トランプ氏は「戦争を終わらせる」と公言しているが、その終え方次第では新たな有事が発生しかねない。 「仮にウクライナが譲歩する形で停戦させれば、侵略を容認するかたちになる。おのずと、台湾有事のリスクが高まり、日本にも有事のリスクは及ぶでしょう」(永濱氏) トランプラリーに浮かれてばかりはいられないようだ。 (ジャーナリスト・田茂井治)
田茂井治