95%の人はやりがち…成功しても転落する投資家の特徴「負けた後の行動」でバレるホンモノとの決定的な違い
兵庫県の貧しい農家に生まれ、資産20億円を築いた“日本のバフェット”といわれる藤本茂さん(シゲルさん)。19歳で投資を始めて投資歴は69年にのぼる。昭和・平成・令和の相場を見続け、バブル崩壊、リーマンショックも乗り越えたきた凄腕シニア投資家だが、長く続けてこられた秘訣は何なのか。成功しても転落してしまう投資家も多くいる中で、生き残れる人との違いを明かしてもらった。12万部突破のベストセラー『87歳、現役トレーダー シゲルさんの教え 資産18億円を築いた「投資術」』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものをお送りする。 ● 多くの投資家は 退場していく いま私は、ほかの投資家仲間と会うことはほとんどありませんが、かつては証券会社などで投資家仲間と顔を合わせることもしばしばありました。 しかし、その顔触れは、結構な頻度で変わっていくものでした。「そういえばあの人、最近、見なくなったな」と思うことは、決して珍しくなかったのです。 2022年に金融庁が発表した報告書によると、投資信託などを購入した顧客のうち、2020年3月時点の損益がプラスになっている人は30%程度なのだそうです。ということは、70%程度の人が、損益がマイナスの状態だということですね。 一方、デイトレーダーとして生き残る割合は、「10%程度」だといわれます。これだけ見ると、夢のない数字ですよね。
● 博士号を持つ賢い人でも95%は負けた 共通する行動パターンとは 私に言わせれば、株は楽しい。それは間違いありません。でも決して、ラクなものではありません。私は68年間株式投資をして、毎日記録をつけ、反省しているわけですが、それでも読み間違えます。トータルとして勝っているだけで、思ったとおりにいかないなんてことはザラです。 このことに関連する「ラルフ・ビンスの実験」いうものがあります。プログラマーのラルフ・ビンスは、博士号を持つ40人にゲームをしてもらいました。そのゲームのルールは次のとおりです。 1) 抽選箱のなかに当たりが6本、ハズレが4本入っている 2) 当たりが出れば賭け金は2倍、ハズレが出たら賭け金は没収 3) 元手1000ドルで1回に賭ける金額は自由 4) ゲームを100回繰り返す 6本当たりが入っているわけですから、プレイヤー側に有利な賭けといえます。毎回100ドルかけたとすると、勝ち60回でプラス6000ドル、負け4000ドルとなり、理論上は手持ち資産が3000ドルになるはずです。 結果、どうなったと思いますか? 40人の参加者のうち、資産を増やしたのは2人しかいませんでした。博士号を持っている「賢い」人間でも、95%は負けてしまったわけです。 負けた95%は、「負けたあとに賭け金を増やし、勝ったあとには減らす」という賭け方をしていました。人間は負けが続くと、「次は勝てるはずだ」と思い、勝ちが続くと「次は負ける確率が高い」と考えてしまうんですね。 ● 1回1回の勝負は独立したもの 切り替えができない人が負ける 負けが続いたら、なんとかとり返そうとつい思ってしまいます。 でも本来、1回1回の勝負は独立したもの。分けて考えなければいけないのに、切り替えができていない。そういう人が負けるのは必然ですが、そういう人が大半なのでしょう。 人間は弱いんですよ。それを覆すのには、よほどの鍛錬が必要です。 厳しいことを言ってしまいましたが、事実を直視せずに利益を得ることはできません。覚悟を持って株の世界に入ってきて、勉強を怠らない人であれば、「絶対」とは言えませんが勝てる確率はグンと高くなります。 たとえば、あなたが仕事で評価されて出世したとして、「運が良かったね」と言われたら、どう思うでしょうか。決して、いい気はしないはずです。 運の要素がゼロではないにしても、「自分はそれだけ努力したんだ」と思うんじゃないでしょうか。よく株で儲けた人を「運が良かった」、負けた人を「運が悪かった」と言いますが、運なんかじゃありませんよ。 運よりも勉強がものをいう世界です。
藤本 茂