頻発するトラブルからの接触に「チームとして厳しい課題がある」と阪口晴南。「山本選手に本当に申し訳ない」/スーパーフォーミュラ第7戦
10月13日に富士スピードウェイで行われた全日本スーパーフォーミュラ選手権第7戦は、セーフティカーが3回導入される荒れた展開となった。 【写真】接触後にマシンを止めた山本尚貴(PONOS NAKAJIMA RACING)と阪口晴南(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING) なかでも、首位の坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)と追いかける福住仁嶺(Kids com Team KCMG)のギャップが1秒以内へと縮まった33周目、2コーナーで発生したクラッシュには、サーキットが一瞬凍りついた。 接近戦のなか、ホームストレートからTGR(1)コーナーへと進入した阪口晴南(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)と山本尚貴(PONOS NAKAJIMA RACING)。2コーナーへ向けてややアウトから立ち上がった阪口が突然失速すると、右後方に位置していた山本が阪口のマシンの右リヤタイヤに乗り上げて宙を舞い、路面に叩きつけられた。2台は2コーナー先のグリーン上に停止、これで3回目のセーフティカーが導入されることとなった。 突然の接触の原因は、阪口の38号車がメカニカルトラブルに見舞われ、加速ができなかったこと。直後の無線で「シャットダウンした!」とチームに報告していた阪口が、接触に至るまでをレース後に振り返った。 「ウォームアップ走行での手応えがあまりよくなくて、グリッドで調整はしたものの厳しいレースになるなと思っていました。スタートは昨日の件(エンジンストール)があったのでちゃんと見直してスタートできて、1コーナーまでに順位も上げられて、(1度目の)セーフティカーが入るまでの組み立てはすごく良かったかなと思います」 「ただ、セーフティカーが明けてから、自分のペースがないことを実感して。抜かれてしまうし、前についていけないような状態で厳しいなと思っていたのですが、もう1回セーフティカーが入ったことが、自分たちにとってはタイミングが良くて、(ルーティンピットを済ませて)ポジションを8番手に戻すことができました」 この2回目のセーフティカーのタイミングまでに全車が義務ピットを終える展開となり、レースは16周終了時点でリスタート。すると阪口はリスタート直後からポジションを下げていってしまう。そして、山本との接触に至った。 「山本選手と競っているときに、前回のもてぎと似たような感じのトラブルがまた出てしまい、加速がまったくできませんでした」 「今回は(他車を)巻き込んでしまう形となり、山本選手とNAKAJIMA RACINGさんには本当に申し訳ない気持ちです」 前ラウンド・モビリティリゾートもてぎの決勝でも、阪口はスロットル関連のトラブルにより突然レースを終えてしまっていた。雨の第3戦SUGOでのクラッシュでモノコックを交換した後、阪口車に頻発しているトラブルは、いまだ根本的な解決に至っていないようだ。 「決勝のトラブルはずーっと引きずっている問題なので、良くないですね」と阪口はより一層厳しい表情で語る。 「今日起きたようなトラブルが起きないように……誰かを巻き込むのは本当に良くないですし、信頼関係にも関わると思うので、そこはチームとして厳しい課題があるということをみんなで認識して、次の鈴鹿に行きたいと思います」 接触後、マシンを止めた阪口は64号車のもとへ向かい、コクピットに座ったままのの山本の身体を気遣い、山本がマシンを降りてヘルメットを脱いだ後には、自らに起きた症状を説明したという。 なお、阪口車はこの日朝の予選でもトラブルに見舞われており、とくにQ2では顕著に出たことで「まともにアタックできなかった」(阪口)というが、この朝のトラブルと決勝で起きた事象はまったく別のもの。次戦、第8・9戦の舞台鈴鹿では開幕戦でポールポジションも獲得しているだけに、阪口としてはすべてを解決して1カ月後の最終ラウンドを迎えたいところだろう。 一方、昨年スーパーGTで負った怪我もあり容態が心配された山本は、レース後のミックスゾーンには姿を見せなかったものの、チームによれば、メディカルセンターから自分の足でピットへと戻り、周囲のスタッフに対しても「大丈夫」と話してサーキットを後にしたという。翌週にもレースを控えていることもあり、万全を期すために今後検査は受ける模様だ。 [オートスポーツweb 2024年10月13日]