羽生の10日間安静怪我の背景に真・4回転時代のリスク
ソチ五輪金メダリストの羽生結弦(22、全日空)が、右足関節外側靱帯損傷のため先のNHK杯を欠場した。9日に行われた公式練習で今季からプログラムに組み込んでいる難度の高い4回転ルッツの着氷に失敗。右足首をねじるようにして痛めた。 12日、羽生は日本スケート連盟を通じて「10日間は絶対安静と医師から言われました。その後3~4週間で元に戻るとみておりますが、まだ、あくまでも予定でございます。何とか全日本までに間に合うよう治療・リハビリに努力いたします」とコメントを発表した。 12月21日からの全日本選手権での復帰を目指しているというが、もし間に合わなくとも、代表選考基準には、実績のある選手が怪我や病気で欠場した際の救済措置が設けられていて、羽生の落選はまずあり得ないだろう。 しかし、今回、怪我を起こした背景には、真・4回転時代が抱えている問題点がある。羽生の今後の復帰への調整も含めて消えない故障リスクだ。 現役時代に4回転ジャンパーの元祖的存在でもあった中庭健介氏は、新しい4回転時代がもたらすリスクをこう説明した。 「僕の時代は、まだ今のような4回転に種類のない時代でしたが、それでも体への負担があまりに大きく腰を痛めました。個人差はありますが、腰、膝、足首に負担がかかります。4回転ジャンプは、極端に跳ぶ高さが高くなるわけではありませんが、回転力を増さねば跳べません。そうなると、必然、回転するだけでなく回転を止めるという動きが必要になるため、腰をこれまで以上にひねる、ねじるという動きが生まれ、それに伴い膝、そして右足で踏み切り、右足で着氷するわけですから右足首への負荷が非常に増大するのです。しかも、現代は、多種類の時代となり、羽生選手や宇野選手は4種類以上の4回転ジャンプに取り組んでいます。それだけ練習量は増え、複雑な動きに対応するため肉体への負担が増すことになります。アクシデント的な怪我だけでなく、慢性的な故障に発展するリスクが生まれます」