サッカー日本代表"史上最強"論、スタープレイヤー4選手はどう思っている?
4-0で完勝した第5節のインドネシア戦(アウェー)で先制点となるオウンゴールを誘発し、3-1で勝利した第6節の中国戦(アウェー)で先制点を含む2得点と、11月シリーズの2試合でいずれも1トップで先発して存在感を示したのは小川航基(NEC)。最終予選は初経験ながら、ここまで6試合でチームトップの4得点を挙げている。 「僕の一番の良さはゴール前でボールをねじ込むところですが、そのためにはいいラストパスが不可欠で、今の代表にはそうしたパスを出せる選手が多くいる。そのおかげで、僕はゴール前の仕事に専念でき、結果を出せています。 所属クラブ以上に、ゴール前でいいポジションを取れば、そこにいいボールが来る。代表に入り、(周りの)選手の技術の高さを痛感しています」 また、過去の最終予選を振り返れば、日本が苦労してきた歴史もあるが、小川はピッチに立ってみて、こんなことを感じているという。 「最終予選というと、どうしても接戦になるイメージがありました。なので、これほどいい流れで来られるとは思っていませんでした。でも、今の代表選手はみんなレベルが高く、アウェーの厳しい環境でも普通にプレーしている。 例えばJリーグ時代、アウェーの浦和戦で埼玉スタジアムに行くと、相手チームの大声援の前でチームの誰かひとりがミスをすると、それに引きずられるようにチームとしてうまくいかないという経験を何度もしました。チームは生き物で、ひとつミスが出ると全体に影響するもの。 ただ、代表選手はそうしたことをも覆す技術や芯の強さがあるのか、アジアの過酷なアウェーでもまったく変わらないのはすごいなって思いました」 現時点では代表未満の選手にも聞いてみた。小川と同じく、オランダ中位のNECに所属する21歳の佐野航大は、昨季途中にボランチのレギュラーに定着すると、今季はリーグ第16節終了時点で14試合に出場(13試合が先発)。オランダでもその力を評価されつつある。だが、代表入りへの抱負を聞くと、「自分はまだまだ」と謙遜しきりだ。 「ここで試合に出ていることは自信になっている。ただ、ボランチとはいえ、もっと目に見える数字を残さないと。代表入りについて意識はしますよ。でも、今は外から見てもいい選手がそろっているのは明らか。 もちろん、隙があれば狙っていきたいですが、航基君からは(代表は)NECよりも練習からレベルが高いと聞きますし、代表入りのためには、まずクラブレベルでステップアップしないと難しいのかなとも思っています」 このところドイツでの好調ぶりが伝えられている3学年上の兄・海舟(マインツ)の存在も、航大には大きな刺激になっているという。 「兄の試合はいつも見ていますが、ブンデスリーガでもびっくりするくらい普通にやっていて、自分よりはるか先にいる感じ。でも、まだ一緒のチームで戦ったことはないので、いつか一緒にやりたい気持ちはある。それが代表だったら最高なんですけどね」 アジアでは敵なしの森保ジャパンだが、欧州には今後の代表入りを狙っている選手もまだまだいる。 選手たちも実感しているように、所属チームやそこでのプレーぶりを見れば、現代表チームの強さはある意味、当然。 ただ、14年ブラジルW杯では、当時、史上最強といわれていたザックジャパンが1勝もできずに敗退した過去もある。そういう意味では、やはりW杯本大会で結果を出して初めて史上最強と言えるのかもしれない。 取材・文・撮影/栗原正夫 撮影/ヤナガワゴーッ!