壁一面に“人質の写真”生後9か月の赤ちゃんも…誰も座っていない200の食卓には イスラエルが迎えた「難しい局面」
日テレNEWS NNN
パレスチナ自治区ガザ地区への地上侵攻に向けて緊張が高まる中、イスラエル・テルアビブから橋本雅之記者が最新情報を伝えます。 ◇ ガザ地区から北に約60キロ離れた場所。地上侵攻に向けてイスラエル軍は予備役30万人を招集していて、街中でも軍関係者の姿が目立ちます。 壁一面に貼られた写真は、イスラム組織「ハマス」によってガザ地区に連れ去られたとみられる人質の写真です。今も222人の安否がわかっていないということですが、中には、生後わずか9か月という赤ちゃんも含まれています。 地上侵攻が迫る中、ハマスは人質を解放することでイスラエル側との交渉を優位に進める狙いがあるとみられています。ただ、ハマスの壊滅を掲げるイスラエルは交渉には消極的で、人質の家族らは、今はハマスとの戦闘より人質の解放こそが「トッププライオリティー」最優先事項なんだと訴えています。 ■ハマスとの戦闘と人質の解放…イスラエルが迎えた「難しい局面」 こうした中、イスラエル軍は、ガザ地区での地上戦で人質を救出することを想定した訓練を行っています。 その訓練拠点とされるのが、砂漠の中に突如現れるガザ地区を再現した人工の街です。21日に取材した街はガザ地区と同様、建物が密集していて、イスラエル軍の中では「ミニ・ガザ」と呼ばれています。 そこで最も重要とされているのが、人口密集地で戦闘員と民間人を区別する訓練だということです。人質を“人間の盾”として利用するハマスから人質を救出することができるのか、イスラエル軍は非常に難しいオペレーションを求められています。 ハマスの戦闘員によって奪われた多くの日常――その悲惨さを伝えようと、街中には誰も座っていない席に「人質」と書かれた食卓があります。その数は約200席。息子を人質に取られた父親は、「絶対に生きて帰ってくる。それ以外には何も望まない」と話していました。