女子世界王者がV14の具志堅超えを果たせた理由
女子ボクシングのダブル世界タイトル戦が2日、東京の足立区総合スポーツセンターで行われ、IBF女子世界L・フライ級王者の柴田直子(33歳、ワールドスポーツ)、WBC女子アトム級王者の小関桃(32歳、青木)の両チャンピオンが揃ってTKOで防衛に成功した。小関は、これで14度目の防衛に成功、元WBA世界ライトフライ級王者、具志堅用高氏の持っていた13度連続世界王座防衛の日本記録を更新、また女子の世界王座連続防衛記録の世界記録に並んだ。 小関は、最初から飛ばした。挑戦者の同級2位デニス・キャッスル(42歳、英)は、元WBCの世界ムエタイ王者。前日会見では、左手サインをしていた。過去2試合の映像ではオーソドックススタイルだったが、「もしかしたらスイッチでくるかも」と不気味だった。それでもファーストコンタクトから打ち合いになると、小関は、一歩たりともひるまず、目にもとまらぬコンビネーションブローで対抗した。 「スタミナ切れの不安はもちろんあるんですが、スタミナ勝負になったら絶対に負けないという自信がありました。それだけの練習を積んできましたから」。 ワンツースリーからフォーまでは、必ず打ち込み、時には、その連打はセブンまでを数える。右から左へのワンツーから右のフックへつなげるのが基本だが、その逆のパターンや、左ボディから右、右ボディから左という対角線を使って攻めるパターンもあって、まるで、その手が何本にも感じる阿修羅像のようなスピード感あふれるコンビネーションにイギリスから来た挑戦者は圧倒された。 4ラウンドからは、「腹を打て!」「下だ!」のセコンドの声。「最初の1分はボディを、次の1分はコンビネーションで攻めた」。 WBCは、公開採点システムを採用しているが、この回が終わって公開されたスコアは、3者共に小関にフルマーク。有吉会長は、ゴーサインを出した。だが、最も軽いクラスの女子ボクシングにKOチャンスは、そうそう簡単には訪れない。