【特集】2025年度から開校 愛知県の公立中高一貫校
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■愛知県内初!公立中高一貫校の開校
塾の教室に集まり勉強に励む小学生たち。2025年4月、愛知県初の公立中高一貫校が4校開校します。子どもたちは合格を目指しクリスマスや年末年始を返上して猛勉強中です。 中高一貫校は大人気で、中でも明和高校はなんと倍率17倍に上ります。各学校の特色や試験の傾向について取材しました。
■県立高校の募集人数が集まらない危機:なぜ今、“公立の中高一貫校”?
背景は、県立高校の募集人数に対して欠員が目立つようになったことにあります。 昔から県立高校人気が高かった愛知県。しかし、自分のペースで学べる広域通信制や私立での学びの幅の広がりなど、選択肢が広がったことなどにより、思うように生徒が集まらなくなったといいます。 2016年にはたった286人だった県立高校の欠員が、5、6年で10倍近くに増えてしまいました。そこで危機感を持った愛知県教育委員会は、県立高校の魅力づくりの手段として、中高一貫校の開校に乗り出したのです。
■各校の特色:愛知県のテーマは「チェンジ・メーカー」
開校するのは、明和高校付属中、半田高校付属中、刈谷高校付属中、津島高校付属中の4校。80人ずつ募集しています(明和高校付属中音楽コースは20人)。 各学校とも、「自ら課題を立て、情報を整理・分析し、自分の考えを表現する」、「探究学習」を重視する併設型中高一貫校として開校します。テーマとしては「チェンジ・メーカー」を育成することを掲げています。 県によると、「チェンジ・メーカー」とは、様々な人々と協働しながら、答えのない社会的な課題に対して、失敗を恐れずにチャレンジし、創造的に解決できる人のことです。授業を通して、「社会に変化を起こす人材」を育成していくといいます。 愛知県教育委員会 中高一貫教育室 小野智之 室長補佐: 「具体的には、すでに、県立高校の授業に組み込まれている、「総合的な学習時間」に力を入れます。週2時間程度で行い、生徒が自分で課題を設定して発表するような形です。興味のあるテーマに取り組むことを重視します」 例えば明和高校では、1年生では博物館・科学館などの課外活動などを通して、さまざまな分野に触れ、興味を広げます。2年生からはゼミを設け、歴史や宇宙など生徒が興味のある分野のゼミに入り、自分で調べて発表するカリキュラムとなります。 愛知県教育委員会 中高一貫教育室 小野智之 室長補佐: 「大学受験をねらいとした先取学習は基本的に行いません。先生がすべて設定して、一斉に授業を受け、期末のための対策をする授業ばかりではなく、興味のあることに主体的に取り組んでもらいたいと思います」 また、今回開校する4校では、週の授業時間が増えます。授業時間の標準は週29時間ですが、1~2時間授業を増やして、そういった探究学習に充てられます。生徒が自分で調べて、話し合いながら学びを深める、探究学習の時間を十分にとるためだといいます。 受験生に話を聞いたところ、中高一貫校の「探究学習」に魅力を感じ受験を決めたという児童も多くいました。 受験する児童:「地震に興味がある。高校受験をせずに、6年間研究したいです」「探究活動に熱心に指導があるのがいい。エネルギーや環境問題について学びたい」 それぞれの学校でどんなことを学ぶことができるのか、各校の教育方針の特色を取材しました。