TM NETWORKの3人がトリビュートアルバムを通して語る、ユニットのバックボーン
リニューアルして、さらに2回目の売れなきゃという時期
LOVE TRAIN / TM NETWORK 田家:流れているのはDisc2の7曲目「LOVE TRAIN」。1991年5月に発売になった25枚目のシングル、オリコン・チャート1位。最も売れたシングルとして残っております。 小室:そうなんです。この時代、ビーイングから出る曲出る曲に100万枚超えが多くて。僕らもTMNにしてからいけるんじゃないの?って思っていたんですけど、なかなかいかなくてですね。シングルのミリオンってこんなに大変なのかという感じで。 田家:TM NETWORKという名前が1990年にTMNに名義変更になっている。リニューアルというふうに呼んでましたからね。 小室:それもちょっと新鮮にするためだったんですけどね、TM NETWORK? あの「Get Wild」とかでしょ?っていう感じになりつつあった頃だったので。鮮度を高めるためにそういうふうにして。「LOVE TRAIN」はコマーシャルソングで、コマーシャルソングになると絶対鉄板で売れるみたいな感じだったんですけど、まー厳しくて。CMディレクターさんたちが。歌詞を何回直したかわからないですね、これ。 田家:あ、そうなんですか! 小室:ええ、直しましたねー。みんな大変だったと思います。僕プロモーション・ビデオは無理!みたいな感じだったような。 田家:大変でした? 宇都宮:八重洲口の雑踏、横断歩道にぽつんと立っているというシーンで。 小室:いろいろ試行錯誤ですけど。リニューアルして、さらに2回目の売れなきゃって時期でしたね。 田家:さっきもありましたけど、売れるってことに対して2人はどんなふうに思ってらっしゃったんだろう。 木根:売れるに越したことはないですけども。 宇都宮:さっきの話じゃないけど、わーっと売れてきたんだけども、例えばミュージック・ステーションのスタジオに入るときに、わー!キャー!って言われたことがあったんですよ、タクシーで。3人とも少年隊のファンかな……なんで俺たちなんだろう、間違えたんじゃないかなっていうぐらい売れない時代が長かったんで、売れるっていう感触。感触というか、自分たち、俺売れてるじゃん っていうのが僕はなくて、結構あ、売れてるんだっていうのは時間がかかりましたね。 田家:フロントマン、ヴォーカリストはそれを一番肌で感じるわけでしょう? 宇都宮:そうですね。それで夜とかよく六本木とか、あのへん界隈に飲みに行ったりすると、やっぱり見つかるんだっていう(笑)。 木根:宇都宮さんですよね!って(笑)。 田家:売れるためにあまりやりたくないことをやったみたいな記憶はあるんですか? 宇都宮:僕はありますね。大変さが。 木根:いろいろな意味で大変さが。音楽番組は生で歌うとか、そういうところで大変。 田家:時代の変わり目に対してとても敏感でそれに合わせてリニューアルもして。 小室:はい、そうですね。あと「LOVE TRAIN」に関して言うと、その前に『Carol』って一番やりたかったトータル・コンセプト・アルバムみたいな。やりたいことを一応やれちゃった後なので、次、これからどうしようかっていうのもあったかもしれないですね。 田家:『Carol』は機材が変わることによって表現の幅だったり、奥行きだったり、見え方も変わってくるものでしょう? 小室:そうですね。いろいろなことが追いついてきてくれたという感じはあると思います。技術がね。表現の方法とかも。 田家:アリーナ・ツアーでそういう一端は出るんでしょうか。 小室:それはそうですね。最新テクノロジーを活かしたいというのがあるので、格好の材料ですよね。 田家:そういう意味ではコンセプチュアルな最新テクノロジーを活かしたポップ・ミュージックのパイオニアであります。 Human System / TM NETWORK 田家:これはトリビュート版ではなんと松任谷由実さん。この曲で思い出されることはどんなことですか? 小室:これはロスレコーディング。 木根:あーそうだね。 小室:もしかしたら初の海外レコーディングか。 田家:小室さんの中で以前からこういう人たちがやってくれるといいなみたいなものは、おありになったんですか? 小室:いやー、今回はちょっと不意をつかれているというか、こういう布陣なんだって人もいますね。僕からしたらね。 田家:宇都宮さんは? 宇都宮:うーん、そうですね、GReeeeNとかは意外かなと思うんですけど、実はGReeeeNと仲良くて。 田家:じゃあ、その話は来週ですね(笑)。 宇都宮:はははは! 田家:木根さんは、この人は思いがけなかった? 木根:くるりとかラジオでは、佐藤くんってベースの子は、「TIME PASSED ME BY」が大好きなんです!って言ってくれたことがあったから、その曲かなと思ったら違った(笑)。 TIMEMACHINE / TM NETWORK 田家:流れてきましたのはDisc2の9曲目、Disc1も9曲目になるんですけど、9曲目の「TIMEMACHINE」デビュー前に作られて、ライブでしか演奏されなかった曲。 小室:はい。40年そうですね、貯蔵していたって感じです(笑)。 田家:1994年5月18日、19日東京ドームラストデイズの最後に流れた。それから30年経ってKアリーナがあるわけですもんね。オリジナル、どういう状況で書かれたんですか? 木根:てっちゃんの詞に曲をつけることってすごく珍しいよね。 小室:そうだね。僕が詞を書いていて、持っていたんですよね。なんとなくTM NETWORKの青写真というか、こんな発想、構想でというのを歌詞にしてあって。また出るかもしれないんですけど、電気仕掛けの予言者というELECTRIC PROPHETの原本というか、前兆になっている曲で。この「TIMEMACHINE」の歌詞がなかったら、そこらへんの曲は歌詞を作れてなかったかなと思いますね。 田家:TIME MACHINEという言葉はグループを組んだときからおありになるんでしょう? 小室:そうですね。本当は多摩ネットワークだったんですけど(笑)。 木根:それをTIME MACHINEにしてっていう。 小室:この「TIMEMACHINE」って曲があるから、そうしようってことにもなったと思いますよ。 田家:この曲があったから、もう1つの意味がついたんだ。 小室:だと思いますよ。 田家:オリジナル・アルバムは去年の6月の『DEVOTION』で初めて収録されて。 小室:はい、すごく難しかったですね。レコーディングというか、形にするのが。どのぐらいのさじ加減にしたらいいかわからなかった。何年代の感じにするかみたいな。木根さんのアコースティック・ギター。それから僕のエレピ、普通のエレピ、それからMinimoogというシンセの単音しか出ないもの。それと、メロトロンみたいな、昔で言うコーラスみたいなものとか古い楽器を全部使ってみたら、ちょっとオケがよくなって、それで歌ってみてもらったんですね。なんとなく電子楽器って感じじゃない感じにはしたよね。 木根:アナログ感のある。 小室:そうですね、アナログですね。 宇都宮:歌もさっき言ったようにさじ加減が難しくて(笑)。何年代のとかって、それを今の年代と昔から何回か歌っているのと、ミックスした方がいいかなぐらいの感覚で歌っていました。あまりにも今の自分で歌ったら違うものになりそうな気がするので、そっちよりもちゃんと考えながら歌ったっていう感じですかね。 田家:何を変えるんですか? 宇都宮:何を変えるという、例えば語尾1つ変わるだけで変わるので、歌は。 小室:そうですね、ほんと変わりますね。 田家:この「TIMEMACHINE」の坂本美雨さん。よかったですね。来週一緒に聴きましょう(笑)。アルバムの最後の曲がこれだったのがいいなと思いましたが、その曲をお聴きいただきます。「ELECTRIC PROPHET(電気仕掛けの予言者)」。