知床事故、社長「責任者は船長」 昨年夏、家族側に文書で説明
北海道・知床沖で2022年、観光船が沈没し、乗客乗員26人が死亡、行方不明となった事故で、運航会社「知床遊覧船」の桂田精一社長(61)が昨年夏ごろ、家族に謝罪する一方、「出航の最終判断は船長が行った」「船体点検の責任者は船長」などと文書で説明していたことが1日、関係者への取材で分かった。 桂田社長は家族からの質問への回答として、「重大な事故を起こした運航会社の社長として、謝罪したい」と表明。直筆の謝罪文を送付したが、弁護団の判断で家族全体には共有されなかった。 事故当日の動きを尋ねる弁護団の質問に、気象庁の発表や自身の目で海を見て「状況を常に気にしていた」と主張した。 また当日は午前8時ごろから豊田徳幸船長=事故で死亡、当時(54)=と打ち合わせ、海が荒れる前に引き返す条件付きの出航方針は、船長が立てたとした。 運輸安全委員会が23年9月、閉鎖が不完全だった船首付近のハッチから浸水したことが事故原因だと指摘したが、不具合については「報告を受けておらず、知らなかった」と説明した。