日本人に最も多い「緑内障」の特徴。眼圧が正常値でも7割が発症
「緑内障」は、網膜に張り巡らされた視神経線維が減少していき、徐々に視野が欠けていってしまう病気。その大きな原因の一つが「眼圧」です。眼球内部の圧力が上がり、視神経を圧迫して、傷つけてしまうそう。緑内障専門医である真鍋眼科・真鍋婦人科院長の真鍋佑介先生が、日本人の「緑内障」の特徴と、眼圧について詳しく教えてくれました。 【画像】近視になると目が楕円形に変形
日本人の7割が「正常眼圧緑内障」に
緑内障の原因となる「眼圧」ですが、日本人には眼圧が正常値であるにもかかわらず緑内障になる「正常眼圧緑内障」が多いです。国内の緑内障患者の約7割が正常眼圧の範囲内にもかかわらず緑内障になってしまっているのです。じつはこの原因はいまだにはっきりとした結論が出ていません。 有力なのはやはり眼圧の影響です。眼圧の正常値は10~21mmHgの範囲なのですが、正常値であっても視神経には負担になってしまうことがあるのです。 そのため健康診断などで眼圧だけ調べて正常値内であっても「緑内障ではない」とは診断できませんので注意が必要です。 また、眼圧は1日のうちでも6mmHgほど変動しています。体位など頭の位置が変わることでも変動します。横になって寝ている間は眼圧が高くなり、立ち上がって活動している日中は眼圧が低くなります。
40歳以上は眼科で診査を受けよう!
眼圧を測っても緑内障かどうかわからない場合は、眼科を受診して「OCT検査」をしてみてください。これは網膜の状態を光の照射でチェックするもので、微細な視神経の変化も捉えることができます。 1つの基準として、40歳以上の人は一度眼科で検査を受けましょう。また、強度近視の人や親族に緑内障罹患者がいる人は年齢関係なく早めに検査を受けましょう。
目はとてもデリケート。眼圧が正常値でも緑内障になる理由
目はとてもデリケートな器官です。外部から入ってきた光は網膜に張り巡らされた無数の視神経線維によって処理され、脳へ電気信号として伝わることで「目が見える」状態になっています。これらの構造がなんらかの原因で崩れることで、支障が出てきてしまうのです。 眼圧が正常値でも視神経に負担がかかる要因はさまざまなものが考えられます。多くの人に身近なのは、近視です。近視になると眼球がラグビーボールのように楕円形に変形してしまいます。通常の眼球よりも奥行きが長くなるために焦点がずれてしまうのです。
「近視」は一度なったら治らない
一般的に近視の度数が強いほど眼球は大きくなります。目の形状が変化するので、網膜などの組織が引き伸ばされ、網膜剥離、黄斑症、緑内障などのリスクが高まってしまいます。近視は目の構造が変わってしまうため、身長を縮めることができないように、根本的な治療をすることができません。一度なってしまった近視は一生、上手につき合っていかないといけないわけです。
ESSEonline編集部