白井元調教師と学ぶ血統学【164】「僕の頭には常に血統がベースにある」 アグネスデジタルに見る〝真髄〟
次回はついに連載の締めくくり
松浪 僕自身の話をすれば、まずは目の前に馬がいて。そこから発展していきましたね。ダビスタであるとか、ウイニングポストのような血統を重視するゲームもやっていましたけど、それ以上に知っている馬たちが父になって、母になって。で、自身に似たような産駒を出していく。ああ、つながっていくんだなあって。それで、もっと先が知りたくなっていく。海外の競馬とか、そういうものを知っておかないとダメだな…と思った理由もそこです。 白井 僕もそんな感じやったよ。ノーザンダンサーとか、セクレタリアトとかさ。ああいった世界に名を残す馬はどんなんやろうか? 想像するやん。その興味がどんどん大きくなった。これはちゃんと覚えなあかん。本だけでなく、そういう種牡馬を見に行ったほうがええな。性格とか、目つきとか、動きとかを知りたくなったわけ。 松浪 性格とか、千差万別ですもんね。 白井 そう。単にうるさいと言ってもな。急にバーンで来るのか、ずっとギャンギャン言っているのか。実際に馬を見たらわかるやん。周りの人間の態度を見ててもさ。ずっと警戒してて。どんなときでも「ダメー!」と言ってたらさ。この馬、いつもそうなんやなあと(苦笑)。もちろん、体の大きさとかも。写真だけではわからへんこと、たくさんあるからな。 松浪 そこに関して言えば、調教師だった先生と一般ファンの方との違いが生まれてしまうかもしれませんね。牧場とかで馬に触ることもできないわけですし。 白井 そうやな。では、そのあたりのこともちゃんと話して。この連載の締めくくりを次回はしていこうか。 松浪 普段よりも少し長めのボリュームになると思いますが、そこは最後なので勘弁してもらいましょう。競馬ファンのバイブルとして残してもらえるような、フィナーレにしたいですね。 ☆白井寿昭(しらい・としあき)1945年生まれ。広島県呉市に生まれ、大阪で育つ。68年に上田武司厩舎の厩務員となり、78年にJRA調教師免許を取得。79年に開業した。95年のオークスをサンデーサイレンス産駒のダンスパートナーで制してGⅠ初勝利。98年日本ダービーなど、GⅠ4勝を挙げたスペシャルウィーク、国内外でGⅠを6勝したアグネスデジタルなどの名馬を管理した。2015年、定年により調教師を引退。現在は競馬評論家として活動している。
松浪 大樹