ビットコイン、米雇用統計発表後に上昇も5.4万ドルを下回る
現地時間9月6日の米国雇用統計発表後の暗号資産(仮想通貨)市場の短期的な上昇は、浮つ沈みつ取引が交わされた後すぐに反転し、最大の暗号資産であるビットコイン(BTC)は直近1か月での最安値を記録した。 ビットコインは、同統計発表後に5万7000ドル(約809万円、1ドル=142円換算)まで急騰したが、その上昇分を帳消しにして5万4000ドル(約767万円)を下回り、8月5日以来の安値となった。本記事執筆時点の過去24時間で約3%下落している。主要なアルトコインも下落した。イーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)、エックス・アール・ピー(XRP)、カルダノ(ADA)はいずれも同時期に2~4%の値下がりとなり、CoinDesk 20 Index(CD20)は2.7%下落した。 CoinGlassのデータによると、この価格変動により、レバレッジをかけたトレーダー、主に価格上昇継続に賭けるロングトレーダーが不意を突かれ、暗号資産デリバティブ市場ではわずか1時間の内に5000万ドル(約71億円)近くの清算が引き起こった。この日の高値と安値の差は3000ドル(約43万円)を超え、8月28日以来最大の幅となった。 米国の主要株価指数も取引開始早々に下落している。ナスダック総合指数は2.5%下落し、より幅広いS&P 500指数は現地時間正午までに1.6%下げた。
FRBの利下げに注目
広く関心の的になっていた米国の非農業部門雇用者数報告によると、世界最大の経済大国である同国は8月に14万2000人の雇用を増やしたが、これはアナリストの予想をわずかに下回るものだった。一方、失業率は7月の4.3%から4.2%に低下した。 この発表を受けて、市場関係者は、今月後半に実施されると見られている連邦準備制度理事会(FRB)の利下げペースについて検討している。CME FedWatchのツールによると、直近だと、トレーダーたちは現地時間9月18日の連邦公開市場委員会での25ベーシスポイントの利下げ可能性を70%以上、50ベーシスポイントの利下げ可能性をほぼ30%と見積もっている。 その後、FRBのクリストファー・ウォーラー(Christopher Waller)理事はノートルダム大学でのスピーチで、利下げの「時期が来た」とし、「適切であれば前倒しの利下げ」を主張すると述べた。 一部の観測筋は、50ベーシスポイントの利下げはFRBが米国経済が景気後退に陥ることをますます懸念していることを示す可能性があるため、リスク資産にとってはより小規模な利下げの方が有利だと主張する。 「最終的には、利下げの性質(強気か弱気か)は経済データとFRBのコメント次第だが、すべての条件が同じであれば、私は依然として、資産価格にとって50よりも25 ベーシスポイントのほうが良いと見ている」とファンドストラット(Fundstrat)のデジタル資産調査責任者であるショーン・ファレル(Sean Farrell)氏は述べた。 |翻訳・編集:T.Minamoto|画像:CoinDesk|原文:Bitcoin Pumps, Then Dumps Below $54K as Jobs Report Spurs Crypto Volatility
CoinDesk Japan 編集部