老齢年金「繰上げ・繰下げ受給」どちらが得なのか?シミュレーション
2024年7月3日、厚生労働省は年金財政検証の結果を公表しました。5年に1度行われる「公的年金の健康診断」の結果を受け、来年に実施される年金改正で年金制度がどう変化するのか注目を集めています。 ◆【一覧表】老後の年金「繰上げ・繰下げ」の損益分岐点《年齢別》 現行の年金制度では老齢年金の受給開始年齢は原則として65歳となりますが、受給開始年齢の「繰上げ」や「繰下げ」を選ぶことも可能です。 繰上げ・繰下げを選択することによって損をしないものか、と気になる方も多いのではないでしょうか。 この記事では繰上げ・繰下げを選んだ場合に、通常の受給と比較した損益分岐点をシミュレーションして解説します。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
年金の繰上げ・繰下げ受給についておさらい
老齢年金は原則、65歳からの受け取りとなりますが、前倒しで受け取る「繰上げ」、後ろ倒しにする「繰下げ」を選ぶことも可能です。 繰上げ受給は早めに年金を受け取るメリットがありますが、1ヶ月繰上げるごとに年金額が0.4%減額されます。 繰り下げ受給は年金を受け取る時期が遅くなる一方、1ヶ月繰り下げるごとに年金額が0.7%増額される点がメリットです。 繰上げ受給の損益分岐点は? 繰上げ受給は、老齢年金を早く受け取れます。ただし、年金額が減額されるため、累計の受給額はあるタイミングで通常の場合を下回ります。 60歳~64歳で繰上げ受給をした場合の損益分岐点を以下の表にまとめました。 ●受給開始年齢:60歳 ・受給率(通常を100%とした場合):76% ・損益分岐点:80歳10ヶ月 ●受給開始年齢:61歳 ・受給率(通常を100%とした場合):80.8% ・損益分岐点:81歳10ヶ月 ●受給開始年齢:62歳 ・受給率(通常を100%とした場合):85.6% ・損益分岐点:82歳10ヶ月 ●受給開始年齢:63歳 ・受給率(通常を100%とした場合):90.4% ・損益分岐点:83歳10ヶ月 ●受給開始年齢:64歳 ・受給率(通常を100%とした場合):95.2% ・損益分岐点:84歳10ヶ月 どの年齢であっても、損益分岐点を迎えるのは受給を始めてから20年10ヶ月です。 80歳を超えても長生きし続けた方の場合、通常受給のほうがお得ということになります。