老齢年金「繰上げ・繰下げ受給」どちらが得なのか?シミュレーション
繰下げ受給の損益分岐点は?
繰下げ受給は、累計の受給額がある時期で通常受給の場合を上回ります。 66~75歳で繰下げ受給をした場合の損益分岐点は以下のとおりです。 ●受給開始年齢:66歳 ・受給率(通常を100%とした場合):108.4% ・損益分岐点:77歳11ヶ月 ●受給開始年齢:67歳 ・受給率(通常を100%とした場合):116.8% ・損益分岐点:78歳11ヶ月 ●受給開始年齢:68歳 ・受給率(通常を100%とした場合):125.2% ・損益分岐点:79歳11ヶ月 ●受給開始年齢:69歳 ・受給率(通常を100%とした場合):133.6% ・損益分岐点:80歳11ヶ月 ●受給開始年齢:70歳 ・受給率(通常を100%とした場合):142% ・損益分岐点:81歳11ヶ月 ●受給開始年齢:71歳 ・受給率(通常を100%とした場合):150.4% ・損益分岐点:82歳11ヶ月 ●受給開始年齢:72歳 ・受給率(通常を100%とした場合):158.8% ・損益分岐点:83歳11ヶ月 ●受給開始年齢:73歳 ・受給率(通常を100%とした場合):167.2% ・損益分岐点:84歳11ヶ月 ●受給開始年齢:74歳 ・受給率(通常を100%とした場合):175.6% ・損益分岐点:85歳11ヶ月 ●受給開始年齢:75歳 ・受給率(通常を100%とした場合):184% ・損益分岐点:86歳11ヶ月 どの年齢でも、11年11ヶ月後に損益分岐点を迎えます。繰上げの場合より、損益分岐点を迎えるタイミングが早いことがわかります。
どちらが得かは個人の状況によって異なる
繰上げ・繰下げのどちらにするか、正解を選ぶのは難しいです。 損益分岐点となる年齢はあるものの、何歳まで生きられるのかは後にならないとわかりません。 「自分はそんなに長生きしないだろう」と思っていても、意外と健康に暮らすケースもあります。 一概に判断できるものではありませんが、どちらを選ぶべきかを判断するためのポイントはいくつかあります。 ●繰上げ受給が向いているケース 以下に当てはまる方は、繰上げ受給を選ぶのがおすすめです。 ・健康・体力面などから老後に働くのが難しい ・貯蓄が少ない 繰上げ受給を選ぶと良いのは、できるだけ早く年金を受け取る必要のある方です。 老後の資金が少ない方や働けない方は、早く年金を受け取らないと、生活を維持できなくなる恐れがあります。 繰上げによって受給額が減ったとしても、家計の維持のために繰上げ受給をするのがよいでしょう。 ●繰下げ受給が向いているケース 繰下げ受給を選ぶと良いのは、以下のいずれかに当てはまる方です。 ・65歳以降も数年間は年金なしで問題なく生活できる ・心身の健康状態に問題がなく、働ける状態にある 退職金がたくさんある方や資産形成がうまくいった方は、年金がなくても数年間は生活を維持できるでしょう。 年金の繰下げを選ぶことで、さらに老後資金を充実させることができます。 もう1つのケースとして、貯蓄が多くなくても、健康に問題がなく元気に働ける方は繰下げを選ぶ手もあります。 しばらくは会社員やパートなどで働いて生活を維持し、仕事を辞めてから繰下げで増えた年金を受け取ることが可能です。