会社のレベルは会議に表れる…コンサルタントから見た、仕事を「しやすい会社」「しにくい会社」とは?
■ コンサルにはいくらでもケチをつけられる そもそもコンサルの言うことに対して、ケチをつけようと思えばいくらでもつけることができます。 役員会などに出ると、「なぜ将来のことを断言できるのか」とか、「それでうまくいかなかった例は1つもないのか」など、初めから敵意むき出しにして否定してくる人がいます。 どれだけサンプルを集めても、足りないと言われればその通りですし、キリがありません。 仮説を実証するための情報をどれだけ集めても、将来の予測の話なので、必要十分条件をすべて満たしているなんてことはあり得ないのです。 こうなると、もはやコンサルティングの障害以外の何ものでもなくなります。 一番の問題は、知識偏重の人物ほど、自分の頭でものを考えていないということです。 ものを考えているのであれば、頭の中にさまざまなアイデアが浮かんでいてもおかしくありません。そしてそのアイデアの信憑性にもある程度見当がついているでしょう。 そうであれば、ゼロかイチかという視点ではなく、シナリオAよりもBの方が信憑性は高いからもう少し詳細に詰めてみようとか、建設的な議論が生まれて、少しでも問題解決に近づくアプローチをするはずです。 知識はあるけれど、本質的なことを考える能力のない人が多い会社は、コンサルティングを行う上で一番やりにくい会社ということになるでしょう。 本来、知識は考えるための材料であるはずなのに、考えないための材料(知識)になっているわけです。 ■ 会議を見れば、会社のレベルがわかる 私は「会議」を見れば、会社のレベルがわかると考えています。 そもそも「会議の場で考える」というと聞こえが良いですが、言い換えると多くの人は何も考えないで会議に臨んでいるということです。 資料を持参していても、実質手ぶらで参加しているようなものです。そういう会社はまずダメでしょう。 会議のテーマは最初からわかっているのですから、「会議がどんな内容になるか」「誰がどのような意見を言いそうか?」「どのような結論になるか?」など、頭を働かせればかなりの確度で推測できるはずです。極端な話、会議をやる前に「会議録」を書いてしまうことだってできるはずです。 このことは、前にお話しした「結論仮説」にもつながってきます。 成り行きで結論を出すのではなく、皆がそれぞれ考えてきた結論を出し合えば、議論の質は高まり、結論の質も高いものになるでしょう。 こうした会社はコンサルタントとしてやりやすい会社というよりも、すでにコンサルタントを不要としている会社だと言い換えた方がいいかもしれません。つまり、このコンサルタントを不要とする会社こそが、コンサルタントをうまく使える会社だという逆説的な現実が確かにあるのです。
堀 紘一/津田 久資