客は涙、店主は感謝 “昭和”の人気喫茶店 惜しまれつつ閉店へ 繁華街の盛衰、外食の変化みつめて45年 閉店は妻へのプレゼント…マスター「天職とわかって今は幸せ」
手の込んだランチで息を吹き返す
その後、2000年代に入ると外食の多様化も進み店は「ランチ」にも力を入れるようになりました。 「珈香」マスター・久保田富夫さん: 「ニンジンでドレッシングを作って、あとアンチョビとキャベツのパスタをつけて」 手の込んだメニューで評判となり店は息を吹き返しました。 客: 「食べたあとにすごく満足感がある、元気がないときに食べると元気が出る」 「創作料理を出してくれるから飽きなくて、いつも楽しみに」
店を出る客には、必ず「いってらっしゃい」
「味」だけでなく「マスターの人柄」もファンが定着した理由のひとつです。 「珈香」マスター・久保田富夫さん: 「気を付けていけよ、いってらっしゃい」 店を出る客には必ず声を掛けるのがこだわりです。 久保田富夫さん: 「いろんなお店がある中でここを選んでくれて感謝の気持ち、また職場に戻ったりするわけだから家を出るときと同じ感覚」
少なくとも50年は続けるつもりだったが…
多くの常連客がついた店。2022年、取材した際には… 「珈香」マスター・久保田富夫さん(2022年): 「50年は最低でもやりたいなと…体が続く限り。常連さんも年齢が上がってくるのでゆったり話しながら仕事ができればなと」
体調厳しく…閉店は妻の誕生日に合わせて
目標の50年まであと4年半。久保田さんは苦渋の決断を強いられました。3年前に肺炎を患い1カ月半ほど入院し、その後は定休日を増やすなどしてきましたが、体調は思わしくなく、これ以上、店に立つのは難しいと判断したのです。閉店の日は「8月24日」に決めました。 「珈香」マスター・久保田富夫さん: 「妻が8月25日が誕生日なんですよ。今まで何一つプレゼントしたことがなくて、『最後に私が望むプレゼントがほしい』と。『お店をやめて、ゆっくり体のことを考えて休んでほしい』と言われて。最終的には、妻の一言。本当は、這ってでもやりたいなと思ったけど、やっぱり、これからは、ちょっとゆっくりしようかなと思ってます」
別れと感謝を告げる常連客が次々と…
人気のランチは体力面から7月末で終了。それでも、連日、常連客が詰めかけています。 30年来の常連客: 「何するの?」 久保田富夫さん: 「全然考えてない」 こちらは、通って30年になる女性。 30年来の常連客: 「なくなっちゃうんだもんね…しょうがないけど、寂しいです。これからどうしよう、来るとこなくなっちゃって 久保田富夫さん: 「悪い悪い」 30年来の常連客: 「実感がわかない。まだずっと続くみたいな」