聖地「甲子園」マウンドに浮かぶ企業ロゴ 「広告効果」は抜群、ファンや株主総会も大注目
プロ野球阪神の本拠地、甲子園球場(兵庫県西宮市)のマウンド後方部分に、今季から「KOBELCO」の白い文字が入っていることに、お気づきの方は多いだろう。阪神と同じく兵庫県に本拠を置く鉄鋼大手、神戸製鋼グループの企業ロゴだ。6月14日に行われた阪急阪神ホールディングス(HD)の定時株主総会でも男性株主の一人がこのマウンド広告の話題に触れ、改めて注目を集めた。新たな取り組みに賛否両論はつきものだが、はたして、その効果は-。 【写真】甲子園のマウンドに「KOBELCO」の白い文字が ■兵庫への強い思いが共通 甲子園のマウンドに鮮やかに映える「KOBELCO」の真っ白な文字。グラウンドの白線と同様に、サンゴを再利用したパウダーで描かれているという。マウンド後方はバックスクリーンからの中継カメラの基本的な構図にはまるため、テレビ中継では、投手と打者の対決シーンで目に留まる。広告放送禁止のNHKはもちろん、地上デジタル放送も衛星放送も関係なく映り込んでいるわけで、圧倒的な存在感である。 先日の株主総会で、株主から出たのは「(甲子園が)聖地ということを表に出すのなら、グラウンドにはちょっと控えていただければ」という訴えだった。これに対し、阪神の谷本修球団オーナー代行は「コロナ禍の3年間で非常に厳しい経営環境を強いられた」ことなどを説明。12球団で増収策を検討する中で、阪神が提案し、22年シーズンから広告掲示が解禁となった経緯を明らかにした。 「KOBELCO」は、今季から2シーズンの契約で、甲子園での阪神の主催試合で掲出されている。谷本球団オーナー代行は、協賛の神戸製鋼所について「兵庫県において強いラグビーチームを持ち、地域に対しても非常に熱い思いをお持ちです。地域のお子さんを健全に育てていくという志も共にするところがある」と話し、株主にも理解を求めた。 神戸製鋼所の広報担当者は「大きな露出が期待できるところも、魅力だと思っている」と説明する。神戸製鋼所は1905年に神戸市で創業し、来年120周年を迎える。甲子園は今年8月で開場100年。メモリアルイヤーが近いことや、若年層への知名度向上にも期待し、今回の掲出に結びついたという。株主から意見の一つとして出たのは、しっかりと露出が目立っている証しでもある。 ■ファンからは好意的な意見も