世界最大級のリーク「パナマ文書」とは? アイスランドでは首相辞任に発展
アイスランドではグンロイグソン首相夫妻が2008年の金融危機直前に、モサック・フォンセカの手引きで英領バージン諸島のオフショア法人に資産を移していたことが発覚。グンロイグソン首相がこの事実をこれまで公表してこなかったため、資産隠しの疑いも浮上し、4日には首都のレイキャビクで2万2000人が参加するデモが行われ、デモの参加者は首相の辞任を要求しました。アイスランドの全人口は約32万人。2万2000人が参加したデモは同国の歴史の中で最大規模のものでした。デモに参加したレイキャビク在住のブリンヒルダ・イングファルスドッティルさんが、市民の思いについて語ります。 「デモだけではなく、ツイッターでも首相に対する激しい批判が展開され、炎上する状態が続きました。金融危機を経験したアイスランドでは、とにかく信用の回復が大切なのです。私自身が小さな会社の経営者でもあるので、海外との取引や信用にはものすごく敏感で、今回の一件でビジネスがしづらくならないかと心配しています。グンロイグソン首相の倫理観がアイスランド国民全体を象徴しているとは、決して思ってほしくはありません」
現地時間の5日夕方、グンロイグソン首相は辞任を表明しました。パナマ文書が発端となって辞任した初の現役首相となりました。ロイター通信は5日、フランス、オーストラリア、スウェーデン、ウクライナの司法当局が捜査に乗り出したと報道。また、アメリカでも司法省の報道官が「一連のニュースには目を通している」と、事件に対する関心を隠すことはありませんでした。 このような規模のスキャンダルが発覚した際に、それぞれの自浄作用は可能なのでしょうか? ロシア政府はパナマ・ペーパーの内容を一蹴し、関係がないと主張し続けています。中国にいたっては、パナマ文書関連報道はほとんど行われず、オンラインニュースの検索にも規制がかけられたという報道も存在します。5月にはパナマ文書の全容が公表される見込みですが、それを受けて自浄作用が世界中で展開されるかといえば、それは現実的ではない話なのかもしれません。 (ジャーナリスト・仲野博文)