世界最大級のリーク「パナマ文書」とは? アイスランドでは首相辞任に発展
各国政府の現職のリーダーの名前も浮上
モサック・フォンセカの内部資料を調査してきたICIJによると、オフショア企業を利用して租税回避を行ってきた政治家や富裕層は世界中にいますが、単なる租税回避ではなく、犯罪絡みの案件でマネーロンダリングが必要となり、モサック・フォンセカが用意したオフショア企業を利用する面々も少なくないようです。ICIJは、オフショア企業利用者の中にメキシコの麻薬組織や、ヒズボラのような過激派組織、北朝鮮やイランの政府系フロント企業が含まれていると発表しています。 また、1983年にロンドンのヒースロー空港内の倉庫で3トンの金塊(総額40億円以上)が強奪された事件は、現在も未解決事件となっていますが、事件の16か月後にモサック・フォンセカが、ロンドンの資金洗浄屋(83年の強盗事件に関与したとして、92年に実刑判決)の依頼でパナマにペーパーカンパニーを作っていたことが判明しています。このペーパーカンパニーは1995年に閉鎖されましたが、英犯罪史に残る大強盗事件の解決の糸口が意外な形で出現しています。 パナマ文書から発見された名前には、各国の首脳や関係者の名前も存在します。パナマ文書ではロシアのプーチン大統領が総額2000億円以上の隠し資産を保有し、10代の頃からの友人でチェロ奏者のセルゲイ・ラドゥーギン氏が所有する複数のオフショア法人を中心に送金が行われたとする記録も存在します。プーチン氏の他にも、シリアのバジャール・アサド大統領の2人のいとこや、キャメロン英首相の父親(2010年に他界)、米軍侵攻後に樹立されたイラク暫定政権で首相を務めたアラウィ氏、ウクライナのポロシェンコ大統領の名前が判明しています。 ウクライナのポロシェンコ大統領は2014年の大統領就任後、モサック・フォンセカを介して英領バージン諸島に持ち株会社を設立し、自身の資産を移動したとされています。ちょうどウクライナ東部での戦闘が激化し始めた時期でもあったため、ポロシェンコ大統領に対する激しい批判が噴出しています。また、大統領職に就いている期間中の会社設立や、それに関する情報公開を行わなかったため、法的な問題も浮上しています。 ウクライナ西部リヴィウ在住の企業家テトヤナ・オリニークさんは、パナマ文書ではポロシェンコ大統領以外の名前も存在し、ウクライナ国内のガバナンスのずさんさが改めて浮き彫りになったと語ります。 「ポロシェンコ大統領のオフショア取引に関しては、取引の開始時期の方がより大きな問題となっており、議会ではすでに調査委員会の設立が国会議員から出ており、政治利用される可能性が懸念されます。個人的に驚いたのは、現職のオデッサ市の市長がウクライナでは法律で禁止されている二重国籍者であったことです。パナマ文書によって、こういったことが続々と明らかになっています」