夜中にニワトリ鳴かす 昔の伊勢参りで七日市の宿 老人会で講座 三重・松阪
客回転率上げようとした逸話 元飯高町史編纂委員の小林さん、飯高町富永で話す
三重県松阪市飯高町富永の老人会「福富会」(竹内久善会長、約40人)は13日午前10時から、同所の富永公民館で元小学校長の小林典子さん(79)=飯高町富永=を講師に、「和歌山街道 『飯高の見どころ』」と題して同地域の歴史や史跡などにまつわる話や伝説を聞き、改めて地元についての理解を深めた。 同会は、地元に住んでいても知らないことがあるとの思いから、地域の民俗史に詳しく小学校教諭時代に旧飯高町の郷土史編纂(へんさん)委員を務めた小林さんから話を聞くことにした。 この日は、本年度の総会後に開き約20人が参加。小林さんは郷土史編さんの際に、自身で調べて聞き取りして知り得た話を基にスライドを使い紹介した。 街道沿いで宿があった飯高町七日市については、伊勢参りをする人でにぎわったことが分かる裏話を披露。宿の主は、回転率を2倍にしようと夜中の2時にニワトリを鳴かせて、一番目の客を送り出して次の客を入れていたなどと話した。 「どのようにニワトリを鳴かせたのか」との問いに小林さんは「ニワトリは止まり木で寝ます。止まり木は節を抜いた竹で、その竹の中に熱湯を通して熱さに驚いたニワトリが『コケコッコー』と鳴くのと同時にちょうちんをともした」などと話して、聞く人の興味をそそった。 飯高町桑原の地名の由来も語った。昔、夏になるとこの地域には雷がよく落ちていた。ある日、力持ちの大上徳兵衛の家の井戸に雷が落ちた。徳兵衛は雷に「皆を苦しめて許さん」と井戸にふたをしてその上に座って閉じ込めた。雷は「助けてぇー。この村にはもう落ちません」と許しを請う。徳兵衛がふたを開けると「くわばらくわばら」と叫びながら空に戻ったという。 竹内千代子さん(80)は「身近なことだけど、知らないことが多かった。話が上手で楽しかったです」と話した。 小林さんは「地元の人でも案外知らないこともある。知ってもらい古里に愛情を持ってもらえれば」と話した。