【タイ】花王、CPグループとESG分野で合意書
花王は9月30日、タイの首都バンコクで同国の大手財閥チャロン・ポカパン(CP)グループとサステナブル(持続可能)な未来に向けた協業に関する基本合意書を締結した。日用品事業やケミカル事業を通して、タイ社会への貢献を目指す。 両社は環境・社会・企業統治(ESG)分野で提携。日用品事業では、CPグループのハウスブランドを共同開発する。花王が持つ知見・技術と、CPグループが持つ流通網を活用し、サステナブル視点の新たな価値を創出する狙い。 ケミカル事業では、CPグループが推進する農業やインフラ分野に焦点を置いた連携の機会を模索する。農業分野では、花王の少ない農薬で収穫量を安定させることができる技術、インフラ分野では、道路工事などで環境負荷を低減するソリューションの導入を検討する見通し。 このほか、環境に配慮して開発された花王グループの商品群の中から、特定の商品をCPグループに独占提供する。 花王の長谷部佳宏社長は、「2021年に社長に就任して以来、花王は自前主義の脱却を方針に掲げた。自社技術を活用できるパートナーシップの形成に注力するという方針が、CPグループの経営戦略と合致したため、タイ事業60周年を迎えるタイミングでの提携となった」と説明する。 同氏はまた、「幅広い分野で国際的に事業を展開するCPグループとの協業は、花王にとって破格のスピード感で推し進められる」とし、来年には新商品を市場に投入する計画だと話した。 ■27年にリサイクル率100%へ 花王のタイ子会社、花王インダストリアル(タイランド)は初の海外拠点として1964年に設立。現在は日用品11ブランドを展開している。同社は、27年までに全商品のプラスチック包装材のリサイクル率を100%とする目標を掲げている。スキンケア「ビオレ」ブランドの化粧落としと、ヘアケア「フェザー」ブランドのシャンプー、住居用洗剤「マジックリン」では環境に優しい包装材を導入した。 フェザーのボトルは、再生プラスチックを10%使用。さらに容器の厚みを薄くすることでプラスチックの使用量を削減した。また、ビオレの「パーフェクト・クレンジング・ウオーター」は、植物由来の成分を使ったバイオプラスチックを30%使用した容器を採用した。モノマテリアル(単一素材)のため、100%リサイクルが可能となる。 花王インダストリアル(タイランド)は今年、生産工程で使用する電力を100%クリーンエネルギーに切り替えた。30年には「スコープ1」(温室効果ガスの自社排出量)と「スコープ2」(電力使用などに伴う間接的な排出量)の二酸化炭素(CO2)排出量の55%削減を目指し、40年のCO2排出量を実質ゼロとする「ネットゼロ」達成につなげる。