KDDIと京セラ、高速なミリ波のカバー率を飛躍的に向上 ’25年度実用化へ
KDDIと京セラは、5Gの高度化や6G時代で利用される高周波数帯の活用に有効な、ミリ波(28GHz帯)通信エリアを効率的に拡張する無線中継技術の開発に世界で初めて成功したと発表した。繁華街や駅、競技場などでの利用を念頭に、2025年度中の実用化を目指す。 【この記事に関する別の画像を見る】 本技術を実装した中継器を東京都の西新宿ビル街に展開したところ、既存のミリ波のカバー率と比較して、道路のカバー率が33%から99%に飛躍的に拡大できることが確認された。両社は2025年3月31日まで試験を継続し、今後トラフィックの増加を見込む繁華街や駅、競技場などでの高速で安定した通信サービスを実現するため、2025年度の実用化を目指す。 本技術は、従来の無線中継技術で構成される受信機能(ドナー)と送信機能(サービス)の独立概念を一新し、送受信機能を備え、無線環境に適応して動的に役割の切り替えを可能とする技術。これにより、ミリ波の基地局と連携しながら、自律的・連続的なエリア形成が可能。高周波数化が進む6Gでも適用可能とし、高周波数帯の利用促進に大きく貢献することが見込まれる。 ミリ波帯は高速通信が可能で、駅のホームや競技場、待ち合わせ場所など、人が集中する場所に多く設置されているが、高周波数帯のため直進性が強く、ビルや樹木などの影響を受けやすい性質を持つ。ビル屋上などにアンテナを設置して連続的なエリアにする場合、バックホールの光ファイバー回線の敷設を含め、多くの基地局投資や運用コストが必要になる。 一方、5Gの普及や6Gに向けてはトラフィックの継続的な増加が見込まれており、ミリ波を含む高周波数帯の活用や課題解決は必要不可欠となっている。 本技術を搭載した中継器は、相互に連携してメッシュ状につながり、ミリ波エリアの拡張が可能。加えて、中継器装置は電源供給だけで動作し、バックホール回線が不要、設置が容易でオペレーションコストの大幅な削減も実現する。中継器の徹底した小型化と軽量化も行なわれ、街路灯などへの設置が可能になっている。
Impress Watch,太田 亮三