直木賞候補&映画化など話題作続々…朝倉かすみが自ら選んだオススメ5選
第172回 直木賞候補に朝倉かすみさんの『よむよむかたる』が選出された。 「何から読めばいい?」「おすすめの本は?」という方に向けて、朝倉かすみさんご本人のエピソード付きで、絶対にハマるおすすめの5作品を厳選。 【写真】この記事の写真を見る(7枚) ◆◆◆
『平場の月』(光文社文庫)
第32回山本周五郎賞を受賞したほか、第161回直木賞にノミネートされた作品(2018年に単行本刊行)。 50代の男女の出会いを描いた、大人のリアルな恋愛小説。「(執筆当時はまだ)男の人が女の人をケアするという作品が珍しいと思って書いた」という。編集者K(40代・男性)が号泣し、『よむよむかたる』の執筆依頼のきっかけとなった作品である。 〈 朝霞、新座、志木――。家庭を持ってもこのへんに住む元女子たち。元男子の青砥も、このへんで育ち、働き、老いぼれていく連中のひとりである。須藤とは、病院の売店で再会した。中学時代にコクって振られた、芯の太い元女子だ。50年生きてきた男と女には、老いた家族や過去もあり、危うくて静かな世界が縷々と流れる――。 ( 『平場の月』 出版社サイトより引用 )〉 2025年秋に映画公開が決定した本作。 堺雅人さんと井川遥さんのW主演で、監督は土井裕泰さん、脚本は向井康介さん。 原作者である朝倉さんが撮影現場を見学したところ、セロテープで補強するくらい本を読み込む堺雅人さんの姿に感激したそう。また、「居酒屋のシーンで、ビールを飲む時だけすごい可愛い顔になる須藤(井川遥)に注目してほしい」と朝倉さん。
『ぼくは朝日』(潮文庫)
昭和40年代の小樽を舞台に描かれる、小学4年生の朝日と家族の物語(2018年に単行本刊行)。 小さい男の子の話を書きたいという思いと、朝倉さんが子供だったときの”懐かしい小樽”を描きたいという思いから生まれた小説だ。 〈 小学4年生の朝日は父と10歳離れた姉・夕日の3人で暮らしている。 母は朝日を産んだときに天国にとられてしまった。 同級生の富樫くんや近所のカズ坊さん、町の人との交流によって少しずつ大人を理解していく朝日は、ある日、心を痛めた夕日の前で場違いな発言をして、事態が急変する――。 ( 『ぼくは朝日』出版社サイトより引用 )〉 「すごく好きな作品。今はない建物なども描かれているので、分かる人にしか分からない景色も多い」と朝倉さん。朝倉さんの思い出や懐かしさ、小さい男の子への憧れがぎゅーっと詰まった一作。