直木賞候補&映画化など話題作続々…朝倉かすみが自ら選んだオススメ5選
『肝、焼ける』(講談社文庫)
第72回小説現代新人賞を受賞した、朝倉かすみさんのデビュー作(2005年)。 〈 31歳になった。遠距離恋愛中、年下の彼は何も言ってくれない。不安を募らせて、彼の住む町・稚内をこっそり訪れた真穂子は、地元の人たちの不思議なパワーを浴びて、なにやら気持ちが固まっていく――。30代独身女性のキモ焼ける(じれったい)心情を、軽妙に描いた小説現代新人賞受賞作を含む、著者の原点、全5編。( 『肝、焼ける』出版社サイトより引用 )〉 「酒井順子さんの『負け犬の遠吠え』(2003年に単行本刊行)がベストセラーに。それまで20代女性の主人公が多かったんだけど、30代女性を主人公にして描いたのが当時は珍しかったんです」と朝倉さんは話す。
『田村はまだか』(光文社文庫)
第30回吉川英治文学新人賞を受賞した、初期朝倉かすみの代表作(2008年に単行本刊行)。 「とうの立った主人公(『肝、焼ける』)を書いてデビューしたので、40代の物語を描きたかった」と朝倉さん。 朝倉さんにとって初めての連載作品で、連作短編である。 〈 深夜のバー。小学校のクラス会三次会。男女五人が、大雪で列車が遅れてクラス会に間に合わなかった同級生「田村」を待つ。各人の脳裏に浮かぶのは、過去に触れ合った印象深き人物たちのこと。それにつけても田村はまだか。来いよ、田村。そしてラストには怒涛の感動が待ち受ける。 ( 『田村はまだか』出版社サイトより引用 )〉 「当時、勢いがあって、400字詰めの原稿用紙50枚に全部一晩で書いているんですよ」と朝倉さん。1、2回書けると「一晩で書ける女なんだ!」という気持ちに。部屋から見て月がゆっくり下がっていくのを眺め、「この位置で(いま書いているのが)30枚目だったらいける!」という勢いで執筆していた、と懐かしさを滲ませながら朝倉さんは話す。 ※「編集者目線でいうと、一晩で50枚書くのは並大抵の人には不可能です」(編集K談)。