なぜ日本は世界一資産を持っているのに国民は<恩恵>を受けられない?「財源不足だから負担増、との言説はほどほどにしないと…」生島ヒロシ×岩本さゆみ
◆一番の原因は? 生島 なぜこうした状況になるんでしょう? 岩本 例えば、雇用者報酬は2010年から2021年にかけて増加していますが、所得税、社会保険料の負担のほうも増加しています。その結果、可処分所得の増加は緩やかなものになっています。また2014年と2019年には消費税の増税がありましたので、実際に自由に使える実質の可処分所得はもっと少なかったという指摘もされています。 生島 税金や社会保険料の負担が上がっているのが、一番の原因なんですね。 岩本 賃金の伸び悩み、社会保障や税金の負担増、そして足元の物価高もあり、世界最大の資産国でありながら、庶民としてはその実感がないというのが実情と思われます。
◆バランスの良い分配にも目を向けて 生島 う~ん、国は資産をたくさん持っているんだから、国民に負担を強いるばかりじゃくて、もっと上手に使ってほしいですね。 岩本 はい。資産はあるのですから、いたずらに国民を不安にさせて、日本が破綻しかねないから増税を、財源不足だから負担増を、といった言説はほどほどにしていただいて、成長につながるようなバランスの良い分配にも目を向けてもらえたらと思います。 生島 そうだ、そうだ! ※本稿は、『日本経済 本当はどうなってる?』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
生島ヒロシ,岩本さゆみ
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