新型コロナで「異例」の総裁談話 日銀の狙いを読み解く
しかしながら、もはや日銀にできることはほとんどありません。本稿では詳細な説明を省きますが、(1)金利はもう限界まで引き下げており、これ以上の引き下げは逆効果との見方が多くなってきています、また、(2)資産買入れといっても長期国債は既に買い尽くしているほか、ETF購入は既に年間約6兆円と巨額なため、決断は簡単ではありません。日銀としては、緊急声明を出すことで投資家心理の悪化を食い止める狙いがあったのでしょう。逆に言えば、それしかできることがなかったということです。 なお、その上で日銀がサプライズを起こすとしたら、その手段はETF購入ペースの増額でしょう。現在年間約6兆円としている買い入れ目標を一段と増額することが考えられます(確率は20%以下)。
---------------------- ※本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。