北朝鮮、ICBMを初めて「正常角度」で発射か…米大統領選挙戦に合わせて強行する可能性
【10月27日 KOREA WAVE】韓国軍は、北朝鮮が米大統領選挙前に大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を強行する可能性があるとみて、平壌国際空港一帯の動向を監視している。韓国軍は、北朝鮮がICBMを初めて正常角度(30~45度)で発射するかどうかにも注目している。 北朝鮮のICBMは現在、米本土まで到達できる飛行能力をある程度確保したと評価される。 北朝鮮は2017年から液体燃料を使うICBM「火星14、15、17」型をはじめ、固体燃料「火星18」型を数回発射した。 固体燃料は液体燃料とは異なり、燃料保管・注入や発射過程で時間的・物理的制約をほとんど受けないため、それだけ相当な軍事的効用性を持つ。液体燃料より固体燃料が隠密性・迅速性の面で優れている。 ただ、北朝鮮はこれまでICBMをすべて「ロフテッド軌道」(飛行距離を抑えるため発射角度を意図的に高めること)で発射しており、正常な角度での発射時に確認できる「弾頭の大気圏再突入能力」はまだ検証されていない。 北朝鮮が近いうちにICBMを正常角度で発射すれば、これはICBMの核心技術であるこの「弾頭の大気圏再突入能力」を立証することに焦点があてられるとみられる。 「ロフテッド軌道」は正常角度発射より大気圏再突入時の摩擦熱の発生が少ない。正常角度で発射してこそ、弾頭が大気圏に安定的な角度で再突入するかどうかなどを確認できる。突入角度が間違っていると、弾頭が宇宙空間で跳ね返ったり、目標物から大きく外れたりすることがある。 北朝鮮は、ロシアに戦闘兵を派兵した見返りに、弾頭の大気圏再突入技術を伝授された可能性がある。 ◇太平洋に落とす? 北朝鮮の米大統領選挙前のICBM発射は、米大統領選挙の構図に影響を与え、自分たちに有利な政治的地形を作るための目的かもしれない。 これと関連して北朝鮮は23日、朝鮮労働党機関紙・労働新聞で、キム・ジョンウン(金正恩)総書記が戦略ミサイル基地の地下施設で、ICBM「火星-18」型と推定されるミサイルを見て回り、「核武力の徹底した対応態勢」を備えると威嚇した。先月9日には12軸車輪(左右12個ずつ24個の車輪)とみられる新型移動式発射台(TEL)を公開し、新たなICBM開発を示唆するなど、米国を相手に核打撃の脅威の水位を次第に高めてきた。 射程距離が1万5000キロに達し、米本土を射程圏に置くICBMの弾頭再突入などを確認するために正常角度で撃てば、日本列島の上空を通ってハワイなど米領の島がある太平洋または米東部地域の沖合に落とすことができる。この場合、米国はこれを事実上、攻撃行為と見なすことができる。平壌から米ワシントンDCまでの距離が約1万1000kmであることを勘案すると、火星17・18型など北朝鮮ICBMは米本土全域を射程圏に置く。 峨山政策研究院のヤン・ウク研究委員は「火星18型を前回の軍事偵察衛星発射体を撃ったフィリピン方向の南太平洋に発射するかもしれない」と分析した。 こうした中、北朝鮮は最近、軍事偵察衛星の追加発射のために平安北道鉄山郡東倉里の西海衛星発射場などで宇宙発射体エンジンの試験を実施しており、米大統領選挙前後に偵察衛星を発射する可能性もある。キム総書記が昨年12月の党中央委員会総会で、年内に偵察衛星3機を打ち上げると明らかにしており、韓国国防省・国防情報本部は「北朝鮮は今年5月の打ち上げ失敗の原因を補完し、再打ち上げを準備している」とみている。 北朝鮮の7回目の核実験の可能性も依然として開かれている。先月26日、国家情報院は、北朝鮮が米大統領選挙後、7回目の核実験を強行する可能性があると国会情報委員会に報告した。軍消息筋は「北朝鮮の核実験が差し迫っている兆候はないが、キム総書記の政治的決断によって、数日内にでも核実験を敢行できる水準で準備をしている」との見方を示している。 (c)KOREA WAVE/AFPBB News
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