G20首脳宣言発表、紛争巡る懸念や温暖化対策での協力表明
Lisandra Paraguassu Andreas Rinke [リオデジャネイロ 18日 ロイター] - ブラジル南東部リオデジャネイロで開催されている20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)は初日の18日、首脳宣言を発表した。パレスチナ自治区ガザやウクライナの紛争による人々の苦しみに懸念を示すとともに、気候変動、貧困削減、税制を巡る協力を呼び掛けた。 各国はトランプ次期米大統領が来年1月に就任するのを前に、多国間のコンセンサス強化に取り組んだ。貿易や気候変動、国際安全保障に関するG20の議論は、トランプ氏が表明している関税政策や交渉によるウクライナ戦争終結など、米政策の急転換に直面することになる。 それでも各国首脳は、ウクライナ紛争を巡り「人的被害」と経済的影響に的を絞ったコンセンサスに至った。 ロシア軍が17日に実施したウクライナへの大規模な空爆を受け、欧州の外交関係者は世界の紛争に関する当初の文言の見直しを求めていたが、最終的に譲歩した。ロシアのプーチン大統領はサミットに出席せず、ラブロフ外相を派遣した。 首脳宣言はまた、「ガザ地区の壊滅的な人道状況に深い懸念」を表明し、援助拡大と民間人保護に加え、ガザとレバノンで包括的停戦が緊急に必要だと訴えた。 気候変動対策を巡っては、アゼルバイジャンで開催中の第29回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP29)閉幕までに先進国が途上国に拠出すべき資金について新たな目標で合意する必要があるとの認識で一致した。 首脳宣言は気候変動対策資金を巡る問題解決が必要としつつ、COP29でどのような解決策を打ち出すべきかには言及しなかった。 議長国ブラジルは極度の貧困と飢餓により大きな焦点を当てるとともに、世界の富裕層への公平な課税に向けた協力について議論を開始し、首脳宣言にもこうした内容が反映された。 同国のルラ大統領はこの日、貧困と飢餓に対抗するグローバルアライアンスを立ち上げると発表。80カ国以上の国や多国間銀行、主要慈善団体の支持を得た。 ルラ氏は「飢餓と貧困は欠乏や自然現象の結果ではなく、政治的決断の産物だ」とし、「年間約60億トンの食料を生産する世界で、こうした事態は容認できない」と述べた。