失神者が続出した究極のトラウマ映画は? 禁断の名作(3)気味悪すぎて観客ドン引き…禁断のタブー破りとは?
人類は太古の昔より、「恐怖」を排除することで危機の時代を生き延びてきた。しかし、その一方で、人間は、妖怪や幽霊を文化として楽しんできた。怖ければ怖いほど見たくなる―。そんな心理的機能が人間には備わっているようだ。今回は、そんな「怖いもの見たさ」をそそる映画をセレクト。失神者や嘔吐者が続出したトラウマホラーを紹介する。第3回。(文・ニャンコ)
『ハウス・ジャック・ビルト』(2019)
監督:ラース・フォン・トリアー 脚本:ラース・フォン・トリアー キャスト:マット・ディロン、ブルーノ・ガンツ、ユマ・サーマン、シオバン・ファロン、ソフィー・グローベール、ライリー・キーオ、ジェレミー・デイビス 【作品内容】 アメリカワシントン州、1970年代。建築家を志すジャックは、なかなか理想の家を建てることができずもがき苦しんでいた。そんなある日、彼は、ある出来事をきっかけに殺人に熱中。自分なりの論理で「芸術」を正当化していく。 【注目ポイント】 本作は、狂気的な殺人者ジャックが、「家」を建てるまでの12年間を5つのエピソードで描いた作品。監督は『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(2000)で知られるラース・フォン・トリアーで、主人公ジャックをマット・ディロンが演じる。 そして、本作最大の注目ポイントは、ホラー映画界で暗黙の了解とされている「子どもに手を出さない」という禁忌を、躊躇なく犯しているという点にある。 作中では、ジャックが子ども2人をライフルであっさり惨殺。母親に「家族ごっこ」を強要した後、無理矢理笑顔の表情を作り、冷凍保存するという鬼畜っぷりを見せる。 また最も衝撃的かつ残酷なシーンは、映画終盤で完成するジャックの家の造形だろう。なんとジャックの家は、彼が殺害した人間の死体で作られているのだ。 最後の最後まで観客を恐怖のどん底に陥れる本作。その演出の数々に、ホラー映画好きでさえ降参してしまうこと請け合いだろう。 芸術を創作するかのように殺人を繰り返すジャックの狂気に、失神者や嘔吐者が続出したと言われている。 (文・ニャンコ)
ニャンコ