東海大相模、初出場でベスト4進出 エース・沖本陸、お目覚め1G1A「しっかり仕事ができた」【全国高校サッカー】
◇4日 第103回全国高校サッカー選手権準々決勝 東海大相模2―1明秀学園日立(Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu) 初出場の東海大相模(神奈川)が逆転勝ちで4強を決めた。 「背番号10」がついに目覚めた。1点を追う前半40分。東海大相模のMF小林晄也(3年)が敵陣右サイドでボールを持った瞬間、FW沖本陸(3年)はゴール前へ動き出した。相手センターバックの間へ潜り込み、頭から飛び込んだ。「『絶対に1点を取るんだ』という気持ちが得点につながった。エースの仕事はチームが苦しんでいるときに助ける役目。しっかり仕事ができて良かった」。面目躍如の同点ヘッドだった。 初戦の草津東戦、3回戦の東北学院戦はともに不発。「得点できず、何もできなかった」。仲間たちが勝利に沸く裏側で、沖本は奥歯をかみ、悔しさをこらえるのに必死だった。昨年から10番を背負う責任、使命感。昨年1月3日に左足指を骨折して長期離脱して以降、「チームを引っ張る意志を持って、1年過ごしてきた」。自分に何ができるか―。悔恨をエネルギーに変え、チームを救う雄たけびを上げた。 後半25分、敵陣ゴール前でクロスのこぼれ球を拾った沖本が右足でシュートを放つと、MF高畑旺崇(3年)が球を止め、左足で沈めた。沖本は「パスは狙ってないんですけど…」と言って、少しおどけた。覚醒したエースが1得点1アシストの大活躍だった。 有馬信二監督が掲げる「パスサッカー」の旗印に共鳴した神奈川県内の有力選手たちが集うようになり、高い技術力に強度を融合させたスタイルが「タイガー旋風」の土台となった。準決勝・流通経大柏戦に向け、有馬監督は「やばいなぁ。バレるまで12人でやろうかな」と冗談を交えつつも「立ち向かっていくしかない」と真っ向勝負を宣言した。
中日スポーツ