大谷翔平の通訳・水原氏「ギャンブル依存症」と告白か、なりやすい人の特徴や原因を医師が解説
ギャンブル依存症の診断と治療
編集部: ギャンブル依存症はどのように診断されますか? 伊藤先生: 本人へのヒアリングによって、ギャンブルへの依存度を診断します。具体的には、賭け事への強烈なとらわれ・欲望と渇望・勝ち負けや結果への慣れ・欲望のコントロールの困難さなどをヒアリングして診断を下します。この病気の診断の基準として用いられている米国の診断基準(DSM-5)を紹介しましょう。 ・望む興奮を得るために、掛け金の増額が必要になる ・ギャンブルをやめると落ちつかなくなったり、いらいらしたりする ・ギャンブルを控えよう・減らそう・止めようと努力を繰り返したが成功していない ・過去のギャンブルの経験をまざまざと思い出したり、次のハンディ付けや計画を考えたり、資金を得る方法を考えるなどいつもギャンブルのことを考えている ・苦痛な気分(無力感・罪悪感・不安・抑鬱)の時にギャンブルに走ることがよくある ・負けた分を別の日にとり返そうすることがよくある ・ギャンブルに熱中している程度を隠そうと嘘をつく ・ギャンブルのために重要な人間関係・仕事・教育・職業上のチャンスを失いかけるか、失ったりしたことがある ・賭け事が原因の絶望的な経済状況を救済する金を出してほしいと他人に頼る カウンセリングでは、過去1年でこうした項目に当てはまるかどうかをチェックし、重症度を調べます。アメリカでは、上記のうち4~5項目当てはまれば軽度、6~7項目で中度、8~9項目で重度とされています。 編集部: ギャンブル依存症は治るのでしょうか? 伊藤先生: 適切な治療と支援を受ければ回復が可能な病気です。ただしこの病気は脳の機能が関係しているので、本人の気持ちや努力だけで治るものではありません。専門機関の治療や自助グループの支援を受けながら回復していくことが大切です。 編集部: ギャンブル依存症はどのような治療を行いますか? 伊藤先生: 精神療法を行います。具体的には「ギャンブルをしたい」という自分の渇望に対抗するスキルを身につけ、自分の問題を反省し、生き方を改めていくといったようなカウンセリング手法が取られます。 また、ギャンブル依存症は本人だけでなく、家族など周囲の人にも迷惑や被害が及んでいることが少なくありません。それに伴う心理的な問題や本人の罪悪感なども乗り越えていく必要があります。 そして、この病気ではカウンセリングだけではなく、同じ病気を抱える人たちの自助グループに加入し、支援を受けることもおすすめします。自助グループではグループミーティングによる報告活動などの定例活動を行っており、この活動がミーティングによって長期的にギャンブルから離れられ、生き方が変わったという人も多いです。