「ツール・ド・ふくしま」14日開幕 被災地巡り復興発信 福島県の15市町村舞台、国内最大規模
福島復興サイクルロードレースシリーズの「ツール・ド・ふくしま2024」は14日、開幕する。浜通りなど15市町村が舞台となる国内最大規模の大会で、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興の歩みや福島県の多様な魅力を選手、愛好者に伝える機会となる。開幕に先立ち13日、Jヴィレッジ(楢葉・広野町)でレセプションが開かれ、市町村長らから「復興を全国にアピールする契機になる」との期待の声が上がった。 原発事故により避難区域が設定された県内12市町村と津波被災地のいわき、相馬、新地3市町の計15市町村がコースとなる。2日間で総延長約245キロを走る「ふくしま240」などレース6部門、タイムを競わないロングライド2部門を繰り広げる。昨年は豪雨の影響で中止となったため、初開催となる。2日間で全国から約520人のサイクリストが集う。 設定されているコースの多くは、かつて原発事故で立ち入りもままならなかった。震災、原発事故の伝承施設や観光地が点在し、復興の現状や地域の自然と文化、歴史に触れられる。
レセプションには市町村長や協賛企業の代表者ら約90人が出席した。主催する福島民報社の芳見弘一社長は「福島の復興に資する大会にしたい」と誓い、来賓の県相双地方振興局の関根昌典局長は「福島の今を広く発信してほしい」と望んだ。県自転車競技連盟の岩城光英会長は「古里の復興の息吹を感じてもらう大会にしよう」と呼びかけた。 日本自転車競技連盟の小野口裕朗副会長は「安全安心な大会運営に協力を願いたい」と述べた。協賛企業を代表し、福島日産自動車の金子與志幸社長の発声で乾杯し、出席者が大会の成功を誓い合った。 ■NCR実現へ首長ら結束 レセプション出席者は県が東北で初めて国の指定を目指す「ナショナルサイクルルート(NCR)」の実現に向け、結束を強めた。ツール・ド・ふくしまのコースの大部分は県が示したNCRの経路案と重なる。大会を通じて指定への機運を高め、自転車を生かした県づくりを後押しする。 NCR指定が実現した場合、自転車走行に対応した道路の改修や国内外への情報発信などで財政支援が受けられる。県観光交流局の藤城良教局長はレセプションの席上、指定に向けたこれまでの取り組みを紹介し、「大会を通じてNCRのコースの良さも実感してほしい」と願った。
市町村長らはNCR指定に向け、大会が果たす役割に期待した。レセプション会場のJヴィレッジが立地する楢葉町の松本幸英町長と広野町の遠藤智町長は「指定への弾みになる」と大会の意義を強調した。