《ブラジル》現金輸送機襲撃で4億円強奪=緻密な計画犯罪の全容判明
リオ・グランデ・ド・スル州カシアス・ド・スルで6月19日に発生し、空港滑走路でわずか数分の間に約1440万レアル(約3億7966万円相当)を奪った貴重品輸送機強盗事件について、連邦警察(PF)の捜査により犯人グループの緻密な計画が明らかになった。この事件は同州史上最大の強盗事件とされ、銃撃戦により警官1人と容疑者1人が死亡。捜査開始から70日間で13人の容疑者が逮捕された。9月29日付G1などがその詳細な手口を報じた。 標的は、カイシャ(連邦貯蓄銀行)の現金3千万レアルを積んだ飛行機だった。PF職員に見える制服を着用し、ライフルと50口径の機関銃で武装した犯罪者9人が、現金輸送会社の警備員と銃撃戦を交わして現金を強奪。警察の注意をそらすため、1500万レアル以上を積んだバン1台を逃走中に置き去りにした。 明らかになったことの一つは、警察の包囲から逃れるために犯人らが取った大胆な方法だ。彼らは車両を改造して「スクール」と表示されたステッカーを取り付け、偽のナンバープレートを取り付けていた。強盗団が現金を奪った後、犯行に使用した車を乗り捨て、この車両に乗り移り、まるで生徒を送迎しているかのように偽装し、警察の追跡を逃れた。全部で13台の車両が使われ、その中には偽のPFの紋章を付けた装甲トラックもあった。 準備や実行、逃走の間に使用された5カ所の不動産も判明した。その内、イグレジーニャの農村地域にあるアジトが「司令部」として使用されていたとされており、配管内に武器が隠されていた。 捜査では、サンパウロ州に拠点を置く国内最大の犯罪組織「州都第一コマンド(PCC)」と、リオ・グランデ・ド・スル州内の犯罪組織「バラ・ナ・カラ(BNC)」が提携していたことも判明した。 捜査は、電話傍受、盗聴器による情報の照合、連邦警察の技術的な専門知識によって行われ、犯人らの指紋が物件から特定された。だがPCCに関連する強盗犯の一人を突き止めたのは、捜査官たちの衣服に対する認識だった。PFによると「PCCの巨漢」ジエゴ・ロドリゲス・アンドラーデ容疑者は、他の事件でも同じスニーカーを着用していた。 PFは、強盗の首謀者として3人の男を特定した。そのうちの1人は、空港内の銃撃戦で死亡したギリェルメ・コスタ・アンブロジオ容疑者で、PCCとBNCの橋渡し役だったとされている。サンパウロ州グアルーリョス地域でPCCを束ねるアドリアーノ・ペレイラ・デ・ソウザ容疑者、銀行強盗の常習犯であるジエゴ・モアシール・ジュンギ容疑者の2人も逮捕された。 PFは17人を書類送検したが、検察は、ジュンギ容疑者の家族2人も事件に関与していたとして、19人を起訴した。9月13日、連邦裁判所が訴状を受理し、全員が強盗および強盗致死罪で被告になった。 盗まれた1440万レアルのうち、これまでに回収されたのは7万レアルのみ。PFは19の銀行口座の差し押さえを要請。トレス検事は「大規模で多くの人間が関与している犯罪だけに、もっと関与者がいる可能性が高い」と述べ、捜査を引き続き行うことを強調した。