韓国の「日本アニメ・マンガ解禁」から26年…『スラムダンク』を読んで育った日韓の若者の"リアル"
■日韓の若者は同じカルチャーを摂取している 留学が始まってすぐ、韓国は日本といろんな面でかなり似ていると感じていた。特にソウルは日本と似通っている。生活をする上では日本と同じ感覚で過ごせるのだ。 僕がオランダで1年間過ごした経験も影響している。日本とヨーロッパは文化が全く違った。それと比べると、日本と韓国はかなり似ていると思った。 両国の若い世代はみんなK-POPを聴いている。韓国ドラマを見ている。アニメが大人気。日韓の若者は同じカルチャーを摂取している。 外食が安いのも共通している。800円から1000円くらいあれば、おいしいものがお腹いっぱい食べられる。ちなみに高麗大学の学食は550円だった。 ■日本人留学生「外国という感じがしない」 オランダに留学していた時、食に苦労した。オランダ人の同級生はパン2枚にチーズを挟んだだけのサンドイッチ。とにかく食への関心が薄いのだ。かといって、外食でおいしいものを食べようとすると、2000円くらいは出す必要があった。 韓国は日常の挨拶に「ご飯は食べた?」という表現がある。「こんにちは」のような挨拶表現である。食へのこだわりが強いのだ。やはり日本と似ている。 日本と韓国が文化的に似通っているというのは、考えてみれば当たり前のことだ。地理的に近いだけでなく、戦後の日韓はアメリカの影響を大きく受けてきた。資本主義体制で、今はどちらも民主主義国。文化的には中国からの影響が古くからあるが、独自の文化を作り上げてきた。両国とも巨大なポップカルチャーがあり、世界に輸出している。 ほかの日本人学生に聞いても、「外国という感じがしない」という声が多い。僕も同感だ。ソウルは日本と同じ感覚で過ごせる。その意味では快適だった。 ---------- 韓 光勲(ハン・カンフン) 元全国紙記者 1992年大阪市生まれ。在日コリアン3世。2016年、大阪大学法学部卒業。2019年、大阪大学大学院国際公共政策研究科博士前期課程修了。2019年4月から2022年7月まで、毎日新聞で記者として働く。2023年3月から約1年間、韓国で留学生活を送った。現在、大阪公立大学大学院文学研究科博士後期課程に在籍。日本学術振興会特別研究員(DC1)。専門は社会学、朝鮮半島地域研究。2019年、大阪大学大学院国際公共政策研究科優秀論文賞受賞。2020年、スマートニュースアワード2020報道部門ベストコンテンツ賞受賞。JBpress、CINRA、『放送レポート』、『抗路』等で記事を執筆している。 ----------
元全国紙記者 韓 光勲