宇野昌磨さん「思い出に残るプログラムはオーボエとボレロ」 | フィギュアスケーターのオアシス♪ KENJIの部屋
フィギュアスケートファンの“もっと選手の素顔を知りたい!”という熱い想いに応えるべくスタートした、「フィギュアスケーターのオアシス♪ KENJIの部屋」。元アイスダンサーであり世界を股にかけ活躍するコレオグラファー(振付師)宮本賢二が日本を代表するトップスケーターをゲストに迎えてお届けします。
今回のゲストは今年5月に現役引退を発表した宇野昌磨さん。9年ぶり2度目の出演が実現しました。世界選手権連覇などシニアデビューから数々の大会を制し、日本のフィギュアスケート界に大きな功績を残した宇野さん。これまでの軌跡を振り返りながら、プロに転向した現在の心境に迫ります。
こちらでは番組の書き起こしコラムを全4回に分けてお届けします。3回目は、引退までの時間を振り返ります。
初めての合計300点台
KENJI:2021-22シーズンは北京オリンピックで銅メダル。初めての合計300点台に到達して、世界選手権にも優勝しました。2度目のオリンピックはどうでした? 宇野:このシーズンは、自分の成績が落ちることを考えていませんでした。前のシーズンで感じた「誇れる競技者でありたい」という思いから、もう上しか見てなくて。成功率関係なしに跳べるジャンプを総動員させて、全部入れ込んでやれるところまでやる。オリンピックシーズンということも関係ない。そんな思いで入ったシーズンだったこともあり、北京オリンピックでの銅メダルはすごく喜ばしいことでした。当初のインタビューでも「すごくうれしい。いい演技ができた」って言っていたんですけど、実は全然いい演技じゃなかったんですよね。もうボロボロで……でも、挑戦を最後まで諦めなかった構成で挑んだことには全く悔いはなくて。その上で銅メダルを取れたので、すごくうれしい思いでした。 KENJI:世界選手権で優勝したとき、コーチが喜ぶ姿が印象的だったよね。
宇野:それがすごくうれしかったです。ステファンは「スケートを楽しく」っていうコーチで、いつも「スケーターたちが楽しくしてほしい」と言います。でも意外と、競技に対して熱いところもある。ジャンプより表現っていうイメージかもしれないんですけど、ジャンプも重要視していますし、競技に対する考え方とかも熱い。だから、この世界選手権で優勝した瞬間にステファンがすごく喜んでいたことは、とてもうれしかったんです。内容も素晴らしかったので、何も言うことはないかなと思います。 KENJI:もちろん試合を見ていたし、よく覚えていて。ステファンが本当に喜んでいたよね。試合で昌磨くんの演技を見るんだけど、ステファンがずっと踊っているのも、なかなか面白い(笑)。 宇野:面白いです(笑)。気持ちもわかるんですよね。入り込むっていう感じで、最後のステップとかもノリノリ。振り返ってみても、このときは僕のスケート人生の中で最高の瞬間だったかもしれないです。