宇野昌磨さん「思い出に残るプログラムはオーボエとボレロ」 | フィギュアスケーターのオアシス♪ KENJIの部屋
KENJI:その翌シーズン、2022-23シーズンは日本男子初の世界選手権2連覇でした。 宇野:連覇……一年前とは違って、結果はすごく喜ばしくうれしかったんですけど、終わった後はうれしいよりも安堵したというか。日本開催でしたし「もう優勝だろう」という雰囲気の中での世界選手権。苦しさも乗り越える2連覇ではありました。 KENJI:実は練習でちょっと怪我をしていましたよね。 宇野:公式練習で足をひねってしまって。でもそれが僕にとってはプラスに働いたかなと思います。調子も全然良くはなかった中で、怪我したことによって前に行くしかなかった。それが良かったんじゃないかなと思っています。僕自身、このシーズンの結果もすごくうれしいんですけど、2021-22シーズンは競技に対する熱量が一番熱いシーズンでした。競技者として一番楽しかったシーズンを経て、さらに優勝もして。両方合わさるとこんなに面白く楽しいんだなと、改めて思いました。
KENJI:なかなか味わえないことだから、話を聞いているだけでもすごい。その中で迎えたラストシーズン。グランプリファイナルは2位。全日本選手権で優勝して、世界選手権は4位でした。そして5月に現役引退となるんですけども、ラストシーズンは「原点にかえって臨む」というテーマで挑んだんですか? 宇野:2022-23シーズンの世界選手権終了後の2年間は、自分にとっては悩みながらのシーズンでした。成績やコンディションのことではなく、自分が熱量を持ってやったものを叶えた後はすごく難しい。それを痛感させられました。それから、羽生結弦さんやネイサン・チェンさん、僕にとってすごく大きな存在であり、一緒に戦ってきたスケーター仲間が現役から退いたという面でも、心に穴が開いた感じでした。それはコロナ禍で大会がなくなってしまったときと同じ感じだったんです。その思いを抱えながら競技生活を送っていました。同時に、2022-23シーズンのシーズンオフで出演した「ワンピース・オン・アイス」。僕はこういうスケートがすごく好きだなと感じるきっかけにもなりました。それなので、悔いなく現役を引退することができましたし、引退後もフィギュアスケートをお披露目する場所がある。そのことにすごく感謝しています。2023-24シーズンよりも、もっといい成績のシーズンが過去にありました。でも、最後に全く悔いの残らないシーズンにしたいという思いで練習に励んで、自分はその思いを達成できたかなと思っています。改めて年表を見ても、長いですよね。9シーズンって。