内村光良「お笑いやるとは思っていなかった」、数奇な運命を語る!
芸人として数々の栄光や実績を持つ内村光良が、読売新聞で連載していた小説『金メダル男』を発売する。この作品は、11年に上演された内村の一人舞台「東京オリンピック生まれの男」が下地になっており、10月22日には自身がメガホンをとり映画化される。小説の「人生は謎に満ちている」という一節を引き合いに出し「まったく予想していなかった人生」と語った内村に、自身の数奇な運命について聞いた。
読売新聞の連載に「ただただびっくり」
『アキオが走る』以来、20年ぶりの小説執筆。最初に話を聞いたときには「読売新聞さんなんてすごいところから連載の話なんて、ただただびっくりしました」と胸の内を明かす。とは言うものの、デビュー当時からコントや、舞台、映画の台本など、自分の世界観を書いて表現することをライフワークにしていた内村にとって「あらためてこれまでを振り返ると、自分は書いて演じてなんぼなんだなって思いました」と充実した時間だったことを実感したようだ。 『金メダル男』は内村の一人舞台「東京オリンピック生まれの男」が元になっている。「2007年に劇団シャ・ラ・ラ以来、初めて自分が劇作・演出した『ハンブン東京』という芝居をやったんです。それから毎年、さまぁ~ずとか何人かで舞台をやっていたのですが、一人舞台やりたいなって思ったのがきっかけです。一人でやるならダンスやパントマイムなど動きがあるものがいいなって思い、色々なジャンルで一等賞をとる男の物語は面白いなって思ったのが最初の発想ですね」
笑いに特化した「金メダル男」は言い訳ができない
本作の主人公の秋田泉一は、多彩な才能を発揮し、さまざまなジャンルの一等賞を目指し奮闘する。幼少期に文武両道で「神童」と呼ばれた内村のエピソードも多々投影されているという。中でも高校の中庭で「表現部」を一人で発足し、俳句を詠んだりパフォーマンスをしたりするくだりは、非常にシュールで、内村のコントや表現方法の世界観にマッチしている。もしや実体験……と勘ぐってしまう。 「いやいや。やっていませんよ」と苦笑いを浮かべる内村。「でも『表現部』で描写しているのは自分の笑いなんだろうなとは思いますね。デビュー作のコントに英語のことわざコーナーというのがあって、『覆水盆に返らず』ということわざを“ふくすいさんはお盆に田舎に帰らない”って訳したり……。こういう匂いが表現部のくだりにはありますね」と内村の笑いの世界観の原点が「表現部」にあることを明かす。