「なにより経済」 2024年、3つの選挙を振り返って
ドナルド・トランプというキャラクターを下品だと思う人は少なくないだろう。しかし、そう思うかなりの人間が、顔をしかめつつトランプに票を投じたのではないか。下品でもいい、芸能人に嫌われてもいい、スマートでなくてもいい、元ポルノ女優と性的関係を持って口止め料を払うことも(たとえそれが本当でも)どうでもいいと思うことにしよう。とにかくいまのわれわれのこの痛みをなんとか緩和してくれそうな大統領を、二者択一で選ばなければならないとしたら、トランプしかない。――そのような気持ちの有権者は相当数いた。こう考えるのは自然だと思う。 ■スキャンダルは致命傷ではない 「なによりも経済」が潮流に 11月の首班指名投票の直前には、各方面から、キャスチングボートを握った国民民主党が、「玉木雄一郎」と書くという党の方針に対して、それでは政権交代が実現できず、結果的に自民党を利することになる、という批判が出た。政局にばかりに目を奪われて、国民の痛みを感じられない愚か者の意見だと思う。国民民主党は明確な経済政策によって躍進した。みずからの経済政策を実現するのが、彼らに票を投じてくれた有権者の期待に応えることである。これ以外に正解はない。 加えて、玉木雄一郎党首の不倫問題のニュースが舞い込んできた。ただ、これは致命傷にはならないと僕は見ている。ネットを中心に「不倫してないで、公約どうり減税しろ」という空気が徐々に濃厚になっていくと予測する。なによりも経済。それがいまの世界の潮流だと僕の目には映っている。
榎本憲男