【解説】石破新内閣、苦渋のスタート? 早期の解散総選挙へ
平本記者 「新しい執行部で解散時期をめぐる議論を行ったそうなんですが、石破首相が11月を主張した一方で、ほかの幹部のほとんどが10月を主張したそうです。10月主張の筆頭格は森山幹事長でした。最終的に石破首相は、党のNo.2の森山氏の決断を受け入れた形になります」 「そもそも、この解散権というのは首相の専権事項ともいわれますから、それなのに他の人の意見を聞いて押し切られたということには、自民党内からも『森山かいらい政権だ』などとやゆする声が出ています。石破首相は周辺に対して、『これ以上の苦渋の決断はなかった。私らしくない決断といわれても仕方ない』と苦しい胸のうちを語っています」 「これまで、石破氏のよさは『筋を通すところ』と言われてきただけに、筋を曲げたこの決断はらしくない決断だったという声が多く出ています」 鈴江キャスター 「総裁、そして首相になる石破氏が1番の権力者のはずなのですが、それを突っぱねるということができなかったのでしょうか?」 平本記者 「できなかった要因は、石破首相の政権運営の基盤が弱かったことだと思います。政権運営をするにあたって、決選投票で戦った高市氏の協力を得られなかった。最高顧問に起用はしたものの、麻生氏との関係もいいとは言えません。政権の基盤が弱いだけに党内で最大の後ろ盾といえる森山氏の意見を聞かざるを得なかった形だと言えそうです」 鈴江キャスター 「苦しい決断だったということですね」
鈴江キャスター 「3つ目の疑問、総選挙ではどうやって野党と対峙(たいじ)していくのか、その戦術というのは描けているのでしょうか?」 平本記者 「石破首相は4日に所信表明、7日、8日に代表質問。そして党首討論などを行って、9日に衆議院を解散する考えですが、野党側は1日からエンジン全開、批判のトーンを強めています。立憲民主党の小川幹事長は『石破新総裁に国民が期待したことは、まさに自民党を変えること。しかし、あなたは既に自民党によって変えられようとしているのではありませんか』と批判しています」 平本記者 「野党は主に2点で石破自民党を攻める戦略です。1つ目は『石破首相の政治姿勢』です。ある立憲幹部は『石破氏は首相になった途端に筋を曲げて議論から逃げた』と、別の立憲幹部は『古い自民党を批判して当選したのに既に古い自民党に取り込まれている』と批判しています」 「2つ目は『裏金問題』です。ある立憲幹部は『自民党総裁選でトップが変わっても自民党の本質は変わってない。裏金問題のケジメはついていない』と指摘しています。立憲民主党の野田代表は、裏金議員の選挙区はできるだけ候補者を一本化して対決したいとしています」