三菱UFJ銀行の「異動」が変わる。公募活性化によるキャリア自律支援とは
「異動は与えられるものではなく、勝ち取るものだ」という認識をもつ若手が増えた
――公募プログラムをどのように改良したのかをお聞かせください。 関舎:公募プラグラムは年に2回、上期と下期に実施しています。2022年からはそれぞれの意味づけを変えました。上期は違う部署に実際に移る「異動型」、下期は1週間に1回経験するなどの「体験型」です。 従業員は年に一度、5~7月に上司とキャリアに関する面談を行います。そこでキャリアに対する考えを話し合った上で、異動を希望する場合は、下期の公募プログラムでまずは体験型に参加し、希望を固め、その上で本格的な異動は上期に応募するという流れを可能にしています。 また、公募のハードルの一つである「他部署の業務がわからない」という課題については、知るための場を作ることを心がけました。具体的には、他部署の仕事を見て知るという意味の「ミルシル」というプログラムで、1日だけ他部署に行って業務を体験します。どの部署を見に行こうかと悩む従業員に対しては、「こんな業務をやってみたい」という希望を聞いた上で、人事部が「●●部はどうですか?」と紹介することもあります。 他には、「社内副業」という取り組みもあり、週に一度、気になっている部署で働くことができます。副業をするうちに興味が出てきたら、実際に異動するというステップを踏むことも可能です。 ――受け入れ側の部署の対応も重要ですね。 関舎:社内副業では受け入れ側の部署がプログラムを考えるため、かなり労力がかかります。しかし、異動してきてもらうには必要なプロセスなので、どの部署も大変力を入れています。 下津:社内イントラで、それぞれの部署がやりがいや良さをPRするようにもなりました。自分たちの部署を自分たちの言葉で話すことで、エンゲージメントの向上にもつながるという副次効果を感じています。 竹内:従業員組合と共催で初の試みとなる「キャリアフォーラム」というイベントも行っています。各部署がブースを開いて自部署の業務や必要となるスキル・専門性などを説明する場に、その仕事に興味のある従業員が聞きに行くことができるというもので、2000人を超える従業員が参加しました。 下津:銀行だけでなく、信託・証券なども含めて、どのような仕事が三菱UFJにあるのかがわかる「JOB図鑑」も作成しました。業務領域ごとの仕事内容やキャリアパスのモデルなどを掲載しています。どんな仕事があるのかわからない人たちが、情報を知ることのできる環境づくりを丁寧に行っています。