三菱UFJ銀行の「異動」が変わる。公募活性化によるキャリア自律支援とは
――これまでの公募プログラムの応募数や合格者数など、数字の推移をお聞かせいただけますか。 下津:応募者数は2019年の477名からスタートし、21年には2000名を突破しました。23年は上半期のみの実績で、2800名を超えています。 現在、2万7000名ほどの対象者がいるので、全体の10%以上が公募プログラムに参加していることになります。制度としては定着してきたと考えています。 ――従業員の方々にはどのような変化がありましたか。また、どのような成果がありましたか。 下津:店舗を訪問して従業員と話すときに、「銀行の変化を感じる」という声を聞く機会が増えたと思います。特に若手層は、「異動は人から与えられるものではなく、自ら勝ち取るものだ」という認識をもっているように感じます。将来どういうことをやりたいのかについて相談を受けることも多く、若手は自身のキャリアをよく考えている印象があります。 また、人事部も例外ではありません。公募の選考を人事が行っていた頃は推奨されていませんでしたが、現在はそのようなことはまったくなく、他部署の業務を体験する人事部員もいます。 ――公募が活発になると、上司にはメンバーにキャリアアドバイスをする能力が求められそうです。 今林:そうですね。人事部が場を提供するだけでは不十分で、上司のサポートは必要不可欠です。サポート力次第で、メンバーのキャリアに対する考え方や行動も変わってきます。2022年3月からは1on1を導入し、上司向けのガイドブックやサポート動画なども提供しています。マネジメント研修でも、フィードバックやコーチングなどの要素を取り入れていて、さらにサポート力を向上させていきたいと考えています。 関舎:「JOB図鑑」は、今後のキャリアを考えたい若手だけではなく、その相談を受ける上司たちも必死に読んでいます。キャリアを考えるために、会社のことを全員が理解する必要があるという認識に変わってきているようです。 上司には、部署の魅力を維持し続けて、今後のキャリアステップを見せていくことが求められます。メンバーに対して「将来的に●●がしたいなら、この部署で●●の経験をする必要がある」という話ができる必要もあります。