都医師会・尾﨑会長、新型コロナ感染増に懸念「せめて夏場だけでも自己負担の軽減を」
東京都医師会は7月16日、都内で定例記者会見を行い、新型コロナウイルスの動向について解説。尾崎治夫会長は「定点医療機関当たりの患者報告数を見ても、実感として私のクリニックの外来でも発熱の問い合わせが非常に増え、1週間に10人以上の陽性者が出ている」と切り出した。 【写真】都医師会・尾﨑会長、サプリ健康被害に「本来は生活習慣で改善するべき」 7月1~7日の定点医療機関当たりの患者報告数(7.14人)を昨年同時期と比較し「増加カーブがかなり類似している」と指摘。「今、感染者数は前週比1.3~1.4倍という形で推移しているので、このペースでいくと1カ月後に3~4倍になる可能性がある。昨年のピーク時の(定点医療機関当たりの)感染者数は16人くらい、札幌市の下水サーベイランスやモデルナ社の地域別流行データでも増加しているので、今回の感染者数はもう少し増えるのではないか」と危惧した。 新型コロナウイルスの現状を「若い方は感染しても “風邪ではないか” と検査しない方がたくさんいる。今の変異株『KP.3(オミクロンJN.1の亜型)』は、今まで作ってきた免疫を回避する力が高く、かなり感染力が強い株だと言われている。KP.3が新規感染者の8割を占め、マスクする人が減っている状況で夏休みに入り、感染者が増えるといずれは高齢者にも影響が及ぶ」と説明。 「今年は5月頃からずっと暑さが続き、私の患者さんでもかなり体力を失っている高齢者が多い。そういう中でコロナにかかると、今回の株は高熱が出て喉がすごく痛くなるのが特徴なので、食事が入らなくなり、暑さと相まって急に衰弱して持病が悪化するケースが増えるのではないか」と尾﨑会長。
さらに、5類感染症に移行したことで「早めに診断して “治療薬を飲みますか” と言っても、ラゲブリオとパキロビットは3割負担で約3万円、ゾコーバは3割負担で約1万5000円ほど。“そんなに高価なら我慢します” という話になってしまう」といい「昨年夏以上に流行し、この暑さが続くと重症化する方が増えていく。肺炎を起こさなくても食べられない、体力を消耗するといったことで重症化する」と懸念を示した。 尾﨑会長は「自己負担なしというわけにはいかないと思うが、せめて感染者数が増加する夏場だけでもいいので、3000~5000円程度の自己負担で済むような対応を国や都にお願いして8~9月に間に合わせたい。秋の定期接種もなるべく自己負担を軽減した形の体制が大事ではないか」などと提言。 移動や部活動などが増える夏休みの感染対策として「体調不良の方は1~2日休んで様子を見ることが大事。大変かもしれないが不織布マスクをきちんとつけ、体調が悪い人がいた場合、マスクを外して食事やしゃべることを控えるように。周囲の方が換気や部屋の大きさなどを注意することも大切」と言及。 「感染者に話を聞くと、“ちょっと調子が悪かったけど、決めた予定なので行ったら具合が悪くなった” という方が非常に多い。“予約しているからもったいない” という気持ちも分かりますが、体調が優れない場合は休んで様子を見て。外でする必要はないですけどマスクを持ち歩いて、人がたくさん集まる場所に入る時はマスクをする注意は必要。コロナ禍の時の注意を思い出し、この夏休みにもう一度やってもらうことが重要」などと訴えた。