「イトウとナカムラは抜きん出ていた」森保ジャパンの“W杯予選無双”トルシエが本音で評価「アジア杯と全然違う。おそらく史上最高世代だ」
中国が相手だったにせよ、統一性と連帯感が
――この日の中国も、攻撃はさておき守備では埼玉での初戦に比べずっとアグレッシブでした。 「中国はバーレーンを破り、結果を得たことでモチベーションも高まった。3連敗の後に2連勝して勝ち点6をあげ、グループ最下位から脱出した。日本には敗れたが、彼らにはこの試合で失うものは何もなかった。監督は選手のモチベーションを鼓舞して、試合はより難しくなった。 日本の得点は3点のみだったが、5~6点は取っていておかしくはなく、ボールを保持してほぼ90分間ゲームをコントロールした。日本に何の問題も生じなかった。結果は多少不本意かも知れないが、それでも日本は中国を大きく上回っていた。 繰り返すが相手が中国であったにせよ、チームは統一性と連帯感に溢れていた。ただ、日本は、もっと容易に試合を決めることができた。攻撃にはさらなる正確性が求められた。決定力は十分とはいえず、ボックス内での効率を欠いていた」
アジア杯の結果が、日本の本当の価値とは思わない
――とはいえアウェーで2点差の勝利は、喜ぶべきことであるかもしれません。 「この試合から感じたのは、ふたつのチームの間には大きな差があることだった。日本はアジアの中で頭ひとつ抜けている。アジアカップとも全然違っていた。アジアカップはEUROやW杯と同様に特別な大会だ。優勝候補は4~5チームだが、抽選による運も左右する。アジアカップの結果が、日本の本当の価値を示しているとは私は思わない。 私にとっての日本の本当の価値は、代表選手のほとんどがヨーロッパでプレーしていることであり、しかも主要なリーグで戦っていることだ。さっきも言った通り、代表のベンチには深い奥行きがある。また育成システムも充実し、優れたユースリーグがおこなわれインフラストラクチャーも整っている。指導者のクオリティも高い。それこそが日本のレベルだ。今日、日本がアジアのトップであるのはもちろん試合の結果にもよるが、W杯でベスト16に進んだから優れているのではない。W杯で準々決勝や準決勝に進みうる国はたくさんあるが、継続性にこそ日本の本当の価値がある」
おそらくは日本サッカー史上最高の世代だ
――その通りだと思います。 「アジアカップでは期待通りの結果を得られなかったが、W杯予選では無類の強さを発揮した。2024年は21年、22年、23年と比べても大きな違いがある。森保(一監督)は継続性を保ちながらチームを進化させることに成功した。今の主力たちは25~28歳だ。おそらくは日本サッカー史上最高の世代かも知れない。素晴らしいとしか言いようがない」 ――森保監督が現在採用しているシステムは3-4-2-1です。それについては……。 「フランスやドイツが相手でも、同じシステムで戦えると私は思う」 ――というと? 〈つづく〉
(「ワインとシエスタとフットボールと」田村修一 = 文)
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