<春はばたく>第93回センバツ注目選手紹介/6 「魔球」でリベンジ 代木大和投手(明徳義塾・2年)
◇代木(しろき)大和投手(明徳義塾・2年) ほろ苦いマウンドだった。昨夏の甲子園交流試合の鳥取城北戦。逆転された直後の八回途中から2番手で登板し、3安打を浴びた。チームが九回に再逆転しサヨナラ勝ちしたものの「ふがいない投球だった」。184センチの長身左腕には悔いが残った。 最速138キロだが、昨夏は球速を追い求めてフォームを崩した。「投手は制球が良くないと」と交流試合の後、U18(18歳以下)高校日本代表監督も務める馬淵監督から厳しい指摘を受けた。それからは「勝てる投手」になるため、安定感を求めて投げ込んだ。進化したのがカットボール。カーブやスライダーの制球が悪く、代わりの変化球として馬淵監督に投げ方を教わり、自ら握りなどをアレンジした。 昨秋は四国大会3試合を1人で投げ抜いて計3失点に抑え、チームを優勝に導いた。県大会を含む公式戦7試合で防御率0・58、与四死球率1・45はセンバツ出場校の主力投手で2位の好成績だ。カットボールと直球の球速差が小さいため、打者は途中まで見分けがつきにくい。高さや曲げ方も自在に変える。馬淵監督も「カットボールを覚えて劇的に変わった」と目を細める。 「甲子園でリベンジしたい」。新たな「魔球」とともに春に挑む。【新井隆一】=つづく