経団連会長に日本生命の筒井義信会長を起用へ、金融機関トップから初…十倉雅和会長の後任
経団連は、2025年5月に任期満了となる十倉雅和会長(74)の後任に、日本生命保険の筒井義信会長(70)を充てる方針を固めた。年明けの会長・副会長会議で内定し、5月の定時総会で正式に就任する見通しだ。
経団連会長は歴代、非財閥系の製造業出身者で現職の副会長から選ばれるケースが多く、金融機関トップからの就任は初めてとなる。
筒井氏は、経団連で23年から副会長を務めている。24年に政府が主導し、脱炭素社会に向けて設立したGX(グリーントランスフォーメーション)戦略の中核機関となる「GX推進機構」の初代理事長に就いた。
日生では、経営戦略を立案する企画畑が長く、11年に社長に就任。15年の三井生命保険(現大樹生命保険)の買収を主導し、国内生保事業の収益基盤の強化を進めた。18年4月から日生会長を務めている。
日生は屈指の機関投資家として、多くの国内主要企業の株主でもある。経団連は、世界的な課題となっている脱炭素化の分野に明るく、国内企業と深い関係を持つ日生トップとしての手腕に期待したとみられる。
住友化学会長の十倉氏は21年6月、病気を理由に任期途中で辞任した中西宏明氏の後任として会長に就任した。十倉会長は今年5月の記者会見で、後任人事について「もう製造業にこだわる時代ではないと思う。いろんな業界から適正な人を選びたい」と話していた。
筒井氏は23年の経団連副会長就任時の記者会見で、「失われた30年を40年にしないため、改革姿勢を持ち続けることが重要だ」と話した。国内では依然、物価上昇が収まらず、1月には米国のトランプ次期政権が発足し、国際関係の急変も予想される。筒井氏の発信力や調整力が問われることになる。
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筒井義信氏(つつい・よしのぶ)77年京大経卒、日本生命保険入社。11年社長、18年会長に。23年から経団連副会長を務める。兵庫県出身。