26年韓国で暮らした移住児童出身の青年、入社8カ月目の死…「息子の無念晴らして」
移住外国人児童出身のカン・テワンさん、労災で死亡 隠れて生きてきた母親、顔と名前を公開し 「真相究明の過程でも差別があってはならない」
韓国で26年間を移住外国人児童として暮らし、韓国での定着を夢見ていたカン・テワンさん(モンゴル名タイバン、32)が重大労働災害で死亡した。母親は「息子の死の真実を究明して無念を晴らしてほしい」と要求した。 「私はカン・テワンの母、イ・ウンヘです」。黒い喪服を着た母親のイ・ウンヘさん(モンゴル名エンフザルガル、62)は、全羅北道全州市の雇用労働部全州支庁前で14日に開かれた記者会見で涙を抑えながら訴えた。 「夫なしで苦労して育ててきた息子を一日で亡くしました。息子がなぜ死んだのかを明らかにして、責任を取るべき人が責任を取るようにしてください」 6日前、息子の死亡の知らせを聞いて遺体が安置された病院に駆けつけた時、母親は取り調べに出た警察に捕まることを恐れて病院の外を歩き回りながら泣いた。その母親が息子の死の責任を問い、顔と名前を公開してカメラの前に立った。テワンさんの母親は前日、国家人権委員会と法務部から協力の約束を受け、出入国・外国人庁を訪れ、滞在資格(死亡者家族に与えるG-1-7)を申請した。 息子のテワンさんは8日、全羅北道金堤(キムジェ)の特装車メーカーのHR E&I(旧ホリョン)で、10トンの無人建設装備と高所作業車の間に挟まれる事故で亡くなった。(未登録の移住外国人児童であったため)自主出国と再入国を経て韓国に再び来たのち、やっと地域特化型ビザ(人口消滅地域での5年居住者)を得て就職してからわずか8カ月めのことだった。 この日の記者会見は、故人の労災死亡に対する警察と雇用労働部の徹底・迅速な真相究明、特別勤労監督と重大災害処罰法の適用などを求めるために開かれた。テワンさんの死亡後、HR E&Iは母親に謝罪の意思を表明しただけで、その後何の措置も取っていない。公開謝罪と再発防止対策樹立、労災処理協力など遺族側の要求には、何も応答していない。記者会見後に行われた面談で、ファン・ジョンホ全州支庁長は「手続きと規定により速かに原因を把握する」という原則的な返事をした。会社代表に対する調査はまだ行われていない。 労災の原因を糾明するリモコンの行方など、初動捜査に対する疑問も遺族の不信を膨らませている。HR E&Iで研究員として働いていたテワンさんは事件当時、会社が開発中の装備(テレハンドラー)をテスト場所に移すためにリモコンを操作していた。 死亡当日、病院を訪れた会社の幹部は「事故に遭った時、(リモコンが)一緒に壊れた」と言ったが、10日に会った同社代表は「(テワンさんが使用した)リモコンで作動してみたら問題なく後進した」と話した。遺族の調査過程で警察は「(テワンさんを死に至らせた)事故装備をトラックにつないで引き出した」と説明したが、会社は「リモコンで後進させて引き出した」と述べた。会社が遺族に見せたCCTV(監視カメラ)の映像は事故の瞬間に止まっており、その後の救助の状況は確認できない。 故人の母親と市民労働団体は「HR E&Iは責任を故人に押し付けるのではなく、故人の死に謝罪し、責任を全うせよ」と要求した。彼らは「故カン・テワンさんの労災死亡は、韓国で人生のほとんどの時間を暮らしてきた未登録移住児童が、永住権を目前にして労災で死亡することになった事件」だとし、「今後、捜査当局と労働庁の調査過程でも差別があってはならない」と強調した。 全州/イ・ムニョン記者、キム・ヘジョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)