なぜ突然、“電気足りない”連続コール?「エネルギー基本計画」の不可思議
順調に上昇する欧米の再エネ比率と目標達成に苦しむ日本
一方、欧州は2021年後半からのエネルギー高騰の危機を経て、再エネを急増させている。EU27カ国の平均で再エネ電源比率が2023年に45%に迫っていて、日本の2030年度の目標さえすでに大きく上回る。 さらに日本のハードルは上がる。第6次エネルギー基本計画の後、先進国のCO2削減の目標値が大きく上積みされたのである。昨年2023年に日本が議長国として広島で行われたサミットで、2030年の削減目標が60%(2019年比)と大幅に厳しくなったのだ。 比較対象の2013年度から2019年度の間に日本でも14%の削減が進んでおり、その削減結果を新たな基準とするのだから大変である。換算がやや面倒だが、以下となる。 2030年度の温暖化効果ガスの削減目標: (旧)2013年度比46%削減→(新)2019年度比60%削減=2013年度比換算66%削減 政府はこれを「約束」ではないと言っているらしいが、いつまでも通るものではないであろう。 第7次エネルギー基本計画の策定に対しては、すでに多くのシンクタンクや環境団体などが提言を始めている。政府の施策に厳しい立場からのものが多く、サミットの「約束」などを基に、たとえば、以下のような提案が行われている。 ・世界自然保護基金(WWF)ジャパン:2035年再エネ電源77% ・自然エネルギー財団:2035年再エネ電源80% ・地球環境戦略研究機関(IGES):2035年再エネ電源61%、原発15%、水素4% かなり厳しい要求に映るが、EUの現状、サミットの「約束」を見るとまったく不思議ではない。また、米国は2035年に脱炭素電源100%を目標に設定した。日本を取り巻く脱炭素の環境は変化し、現実と目標の両方から厳しく日本に迫ってきているのである。 ここまでで、本年度に日本が決めなければならないことと、その策定が難しいということがわかっただろう。 ところで政府はどんな脱炭素の計画を作ろうとしているのであろうか。5月の会議で示された資料を少しのぞいてみたい。