鳥羽周作が語るSNS「僕はエゴサの鬼、レシピを広げるためには何でもやりたい」
31歳で料理の世界に入り、瞬く間に外食業界に旋風を巻き起こしたシェフ・実業家の鳥羽周作氏。代々木上原の「sio」を起点に、新時代のファミリーレストラン「FAMiRES」や青山のイノベーティブレストラン「Hotel’s」などさまざまなジャンルの店舗を展開する鳥羽氏の原点であり、頂点でもあるパスタのレシピだけを集めた『帰ってきたら すぐに作れる、食べられる おかえり!パスタ』(CCCメディアハウス)が7月20日に刊行された。鳥羽氏といえば、YoutubeやX上にレシピを投稿する度、実際に作った人たちから絶賛の声があがるとともに、SNSで発信する「トバい」がネットミームとして広がるなど、なにかとSNSでは注目を浴びている存在でもある。パスタへの情熱を語ってもらった前編に引き続き、後編は自らのレシピへの思いと合わせて、SNSへの見解を伺った(前後編の後編)。>>前編は下の関連記事からご覧ください。 【写真】レシピ本『おかえり!パスタ』を発売した鳥羽周作氏 「SNSは自分のやりたいことを発信するという感じではなく、世の中の人が求めているものをアジャストしていく感じですよね。僕は承認欲求が強そうに見られがちですけど、むしろ相手の人に求められることをやっています。レシピと一緒ですね。 レシピって再現性の高さが、なにより重要なんです。よく『めんつゆとかそういうのばっかりじゃん』って言われるけど、いやいや、それが最強なんですよっていう。最近、二子山部屋の方たちが、Youtubeチャンネルで僕のレシピをしょっちゅう再現してくれてるんでけど、相撲部屋でもめんつゆが大人気なんです。 そんなご縁から先日、二子山部屋にちゃんこを作りにいったんですけど、二子山部屋には唐揚げ番長みたいな力士の方がいるんです。相撲部屋って何十人分も作るから、調理している間に唐揚げが冷めちゃう。なので、冷めてもおいしい唐揚げの作り方を教えてあげたら、すごく感動してもらえて、みんな『トバい!』とか言ってくれて。共感してもらえたことで、こちらもシンパシーを感じました」 鳥羽氏の造語である「トバい」という言葉とともに、レシピを再現したことをポストすると自らリプを返してくれるなど、氏はフォロワーとのやりとりに積極的でもある。 「SNSは、真面目にやるということと、キャッチーな言葉を選ぶこと、そして相手への想像力が大事だと思うんです。 おいしい物を食べた時のコメントって、けっこう難しいんですよ。だからコメントしやすい“かたち”を考えることが大事なんです。先日、ファミレスチェーンのガストさんと『感動ハンバーグコース』を共同開発したんですが、このメニュー名だと、『感動ハンバーグ食べにいきました。感動しました』みたいなコメントがしやすいじゃないですか。逆に、『感動しませんでした』なんて感想も書きやすい。そういうふうに細かくコミュニケーション設計しているんです。 僕のレシピについてポストしてくれた人にリプを返すのも、そういうコミュニケーションをやりたいから。だから僕はエゴサの鬼ですよ。休憩時間はずっとSNSをやってます。ただ、ちょっと困ったことに、最近、鳥羽一郎さんが人気らしくって、僕のことなのかわからない投稿がたまにあるんですよね。『鳥羽シェフ』とか『鳥羽さんのパスタがおいしい』は僕だなってすぐにわかるんですが、『鳥羽さんがお見送りに出てきてくれた』は、どちらかわからない。だから僕のライバルは鳥羽一郎さんですね(苦笑)」