Cookie廃止後のデジタル広告「これでOK」の万能解なし! アドレサビリティと代替技術
アドレサビリティを担保! ポストCookie時代の代替ソリューション
Cookieの利用が制限されるなか、広告のアドレサビリティはますます求められます。その代替ソリューションとして注目されているものは、次のような技術や手法です。 しかしながら、アドレサビリティを担保する、単一ソリューションは存在せず、自社に必要なもの、実現したいことを考え、複数のソリューションを組み合わせていく必要があります。 ■ 1. デバイスID スマートフォンやタブレットに割り当てられるユニークなIDで、特定のデバイスに向けたターゲティング広告に利用されます。これにより、ユーザーがアプリ内でどのような行動をとっているかを把握できます。 課題:AppleやGoogleが提供するデバイスID(IDFAやGAID)は、ユーザーが同意をした場合のみ追跡が許可されるため、同意のオプトイン/オプトアウト機能の導入が欠かせません。同一人物を特定したり、クロスデバイスでは精緻なターゲティングが難しくなったりすることがあります。 ■ 2. ファーストパーティデータ 企業自身が収集した顧客データで、会員登録時の情報や購入履歴が含まれます。たとえば、このデータをGoogleやFacebookなどの広告プラットフォームのデータと照合することで、データがマッチする既存顧客や、既存顧客に類似したような潜在顧客に対して拡張配信することができます。 課題:利用者から同意を得る必要があり、大量のファーストパーティデータを保有する企業は限られるため、一般的な企業では十分なデータ量を確保できない場合も考えられます。 ■ 3. 共通IDソリューション プライバシーを重視した識別子(ハッシュ化されたメールアドレスや電話番号)を利用し、個人を特定せずに広告ターゲティングを実現します。 課題:各社独自で開発を進めているため、IDの標準化が進んでおらず運用コストが高くなる可能性があります。また、AppleやGoogleも独自ソリューションを推進しているため、共通IDが制限されるリスクも考えられ、競合企業間でデータ共有への抵抗感がぬぐえません。 ■ 4. コンテキスチュアル・ターゲティング ユーザーの行動や属性に依存せず、コンテンツの内容に基づいて広告を表示します。たとえば、ユーザーがスポーツ関連の記事を読んでいる場合、スポーツ用品の広告を表示するなど、ページの文脈に応じた広告配信が可能です。 課題:ユーザー行動に基づくターゲティングが難しく、広告の効果が以前に比べて低下する可能性もあり、広告枠の競争が過熱し出稿金額が高騰する恐れもあります。 ■ 5. データクリーンルーム 個人を特定できる情報(PII)を公開することがない安全なデータ環境で、広告主やパブリッシャーがデータを照合できます。広告ターゲティングし、詳細な広告効果の分析ができます。 課題:プラットフォーム間で仕様が異なるため、データ統合や相互運用に課題があり、導入には専門知識が必要です。 ■ 6. ペルソナ・ターゲティング 大量のコンテクストデータ、セマンティックデータ、入札リクエストデータ、キャンペーンパフォーマンスデータとプレースメントレベルで取得された消費者アンケートデータを組み合わせたデータセットをAIにかけて細かいペルソナを作成し、広告ターゲティングに活用します。 課題:特徴的な属性や行動においては、ターゲティング精度の向上が期待できますが、潜在顧客を見逃すリスクもあります。データが不完全な場合は、期待したターゲティング精度が達成されない場合もあります。 ■ 7. CDP 高機能なCDPは、ウェブサイト、モバイルアプリ、CRMシステム、オフラインデータなど、さまざまなソースからデータを集約し、顧客プロファイルを作成します。この顧客プロファイルで、データを安全に管理しながら、パーソナライズされた広告を配信することができます。 課題:システムが異なるデータを統合する難易度が高く、個人情報の同意取得や管理に注意が求められます。導入や運用に費用がかかり、定期的なデータクレンジングや運用者の育成も求められます。 ■ 8. プライバシー・サンドボックス Googleが提案する新しい技術的な仕組みで、ユーザーのプライバシーを保護しながら、広告主が効果的な広告配信を行うための方法です。インタレストベース広告、リターゲティング広告、レポーティング/アトリビューションを担う機能が発表されています。 課題:Googleが主導しているため他のブラウザではサポートされるか不明です。ターゲティング精度の低下や広告主側の適用負荷が高くなる可能性も考えられます。 ■ AIと機械学習の活用: たとえば、購買データをAIや機械学習にかけることで、識別子などを使わなくても広告ターゲティングを実現するような新しいテクノロジーが続々と出現しています。今後も新しいソリューションが世に出てくると予想されます。